始まりは
此処は、まるで地獄だ。
もしこの世に地獄などという妄想力が人一倍豊かな奴が定義した場所を俺が指定しても良いと言われたら即座にこの地の名を口にするだろう。それほどまでにこの地には生の気配が無くそれほどまでに死がこの地を蹂躙していた。辺りは焦土。地には辛うじてヒトであったことが判別できる程まで溶かされた黒いナニカの残骸達。
今、この地に存在する生在るものは2人。奴と目が合う。たったそれだけ、たったそれだけで俺は俺自身を押さえきれなくなった。奔流する激情の中、最後の理性を振り絞り奴に問う。紡いだ言葉は獣の雄叫びのようだった。だが、俺は奴に聞かなければならない。
「何故・・・、何故、俺を選んだァァァっっ!! 何故、何故、何故俺をアイツらと逝かせてくれなかったんだ、くそったれがァァァァァっっっっ!!」
この問いに意味はあるのか。この問いの果てに何かあるのか。
否、そんなものはない。
ならばこの問いは無意味か。この問いはただの独り善がりか。
否、何か意味が在るはずだ。だから俺は問うたのだ。
朦朧とする視界にて、奴の口は何かを紡いだ。
しかし、俺の意識は奴の奏でた音が意味をなす前に消滅した。
奴は、奴は何と応えたのか。