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四話 「なんというコミュ力の高さ」



 「はぁー、昨日は初日からとんでもない目にあった……」



 登校中。

 朝の通学路。


 訓練の疲れか、久々に家族以外の人と長文を話した疲れか、僕はいつも以上にくたびれていた。



 (それに部活動に対するリサーチ不足は感じたなぁ……。結局新聞部の部員数も聞けてないし、他に何の部活動があるかも見れてないや)



 新聞部───ひいてはハイテンション先輩に対する心配は、実はそんなにしていない。

 新聞部があれだけ僕の情報を有しているのなら、逆に()()()()()()()()()も知っているはずだ。



 “だから、なんですか? 僕の過去を吹聴して回って、また僕を孤立させますか? どうぞご自由に。ただし、その瞬間から新聞部は僕の敵です”



 あれだけ言って、聞かないようであればそれはそれでその時考えよう。

 事件当時は、尾行なんかにも特に注意していなかったからなぁ……。



 「はぁー……」



 僕は二度目の大きなため息を()いて、二日目にして陰りを見せ始めた高校生活に思いを馳せた。




 ◆◆◆



 朝のSHR(ショートホームルーム)前の空き時間。

 我らが1-Aの教室内は喧騒に包まれていた。


 “お、加藤もサッカー部なのか! 放課後一緒に部室行こうぜ!”だとか、

 “彼女いんの? いーなー、俺にも紹介してくれよ”だとか、

 “田中は○○中なんだ。俺部活の対抗試合で行った事あるぜー ”だとか、


 皆が皆、自分の通っていた中学や部活、はたまた彼女の有無なんかを話題に初となるコミュニケーションを取り合っている。

 中には同じ中学同士で固まっているグループもあるみたいだ。



 「穂乃果ほのかちゃん、ちっちゃくてかわいいー!」


 「末松さん! ちっちゃいって言わないでくださいぃ!」



 おお、昨日は同じ中学の連中がいるかいないかしか気にしてなかったけれど、何と1-Aには新入生代表の中西(なかにし)さんもいたらしい。


 末松さんと呼ばれた女子に抱きつかれている中西さんは、年相応───ではなく、見た目相応に涙目になって手足をジタバタさせている。


 その姿、なんとロリロリしきことか……。

 いやいや、僕はロリコンではないのだけれどね。


 新入生代表ということは、中西さんは相当な成績を収めているに違いない。

 あのどう見ても小学生のロリータである中西さんが、県内では結構な偏差値を誇る、この光凛(こうりん)高校の新入生代表だなんて……なんというか、見た目とのギャップが最高です。


 しかもッ!

 なんと、なんと、彼女は! 胸が大きいのです!

 ロリ巨乳ですよ、ロリ巨乳! そんなの架空の世界にしか存在しないと思ってました。

 今も中西さんの双丘が、抱きついた末松さんの腕に押しつぶされて強調されています。


 ああ、僕はなんて小さい事で悩んでいたのだろう。

 友達だなんて、喋っていたらこの光景を見逃してしまうよ。僕は孤独だって良い。良いんだ。

 このままここで彼女達を眺めてさえいられれば……。



 「よっす、(みなみ)───だよな?」



 ハッ……!


 僕は何を呆けていたんだ。

 この周りに着々と出来上がっていくグループ達を目の当たりにして、現実逃避をしていたようだ。


 話しかけたきたのは、短髪の男子生徒。

 結構な上背だ。目測で183.4cm……かな。体重は74.3kgって所か。


 それに立ち姿を見るだけでわかる。彼は武道をやっているみたい。



 「うん、僕は(みなみ) 千曲(ちくま)。君は?」


 「千曲(ちくま)って読むのか! 珍しくて、かっけー名前だな! 俺は片桐(かたぎり) 隆真(りゅうま)って言うんだ。よろしくな」



 ふむふむ、僕の名前を褒めてくれるのは素直に嬉しいけど、彼も相当主人公みたいな名前してるね。



 「うん、よろしく。えーと……」



 片桐 隆真、か。さてここは思い切って距離を詰めて下の名前で呼ぶべきか、はたまた無難に名字で呼ぶべきか……。



 「隆真で良いぜ。俺も千曲って呼んでいいか?」



 おお、なんというコミュ力の高さ。

 僕としてはこんな会話、中学一年生の頃以来の事で心中は様々な思考で大忙しですよ。



 「もちろん、改めてよろしくね、隆真」



 何はともあれ、僕は“普通”にクラスに馴染めそうだ。


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