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第71話(一緒に旅がしたかったんだ)

 こうしてまたもとばっちりを受けてしまった僕が連れ攫われる事件はこのような結末を迎えた。

 ご迷惑をお返しましたという事で、レイスとリファスが、ここの地域特産の果物を多量にお土産にくれたりした。

 それから、カイルが、カイルの力を使って転移魔法で、銀狼の城へ。


 でもカイルが王族で、つまり簡単に僕をこの城までに連れてこれたという事なのだけれど、


「……タクミと一緒にと少しでも一緒に旅がしたかったんだ」

「そ、そうだったんだ」

「ああ。責任感もあったが、初めて見た時可愛いって思ったからな」

「だ、だから僕は平凡……うにゃ」


 そこでカイルが僕の頭を撫ぜる。

 しかも、僕に向かって、


「可愛い可愛い可愛い。こういっておかないと、すぐに“洗脳”が解けてしまうからな。こまめにくり返さないと」

「う、うにゃ~、にゃあ、にゃん」


 僕は頭を撫ぜてくるカイルに必死に抵抗した。

 僕の全ての意志力をもって抵抗した。

 駄目でした。


「ふええ」

「本当に可愛いな、タクミは。これからは気を付けるんだぞ」

「う、うにゃ……はい……」


 こうして僕の洗脳が完了し、カイルの手が僕から離れた。

 それから僕はまず、花嫁衣裳を脱ぐことに。

 カイルが非常に残念がっていたが、事前にあの竜の人から返してもらっていた、僕の世界の服に着替える。


 やっぱりこの服が落ち着くなと思いながらカイルに、


「僕がこの世界に来たいと思ったらいつでも来れるんだよね」

「もちろんだ」

「本当だよね、嘘じゃないよね」

「嘘じゃない」

「もし戻ってもまたカイルに会えるんだよね?」

「タクミが望む限り」


 カイルの答えを聞いて、僕は安堵する。

 もしもここでこの世界に残るか、元の世界に戻って一生こちらに来れないの二つを選択させられたらどうしようかと思ったけれど、その心配はなさそうだった。

 それから僕を召喚した人たちと話をして、僕が無事でよかったと言われたり、他にも目的が達成されたら必ず元の世界に戻れますのでお願いしますとも言われてしまった。


 だから僕がカイルが好きな事などを告げると、彼らは大喜びだった。

 なんでもカイルはお見合いを片っ端から、逃げ回っていたらしい。

 そんな話をしていると、新たな人物達が現れて、神子としての役割などの説明を僕は受ける。


 なんでも、その竜の国で砂漠が生じていたような異変はこの銀狼の国フェンリルでも起こっているらしい。

 それもあって、神子として僕を呼んだのだそうだ。


「もっとも、カイル様の花嫁になってもらえればと思っていたのですが、無事上手くいったようですね」


 そう笑ったこの国の宰相は、レイトのお兄さんであるらしい。

 よく似ているな、と思いつつ策士っぽいな、でも結果としてカイルに会えたから、この世界に呼び出されたのもいいかなと僕は思った。

 それから皆でご飯を食べたのだった。

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