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第6話(ギルドカードを手に入れた!)

 登録が完了しましたと、カードを貰い僕がそれを受けとる。

 薄い銀色のプレートで、端の方にICカードよろしく薄い赤い石がはめ込まれている。

 そして右上の方に僕の名前がこの世界の文字で記されている。


「これがギルドカード……実際に見てみると薄くて綺麗だな」


 試しに窓から降り注ぐ日の光にかざすと、逆光の中端の部分がきらりと光る。

 なんだか凄く良いもののような気がした。

 そこで僕はカイルに肩を叩かれる。


「どうやらうまく作れたようだな。特殊能力は、何だった?」

「“鑑定スキル”だった。僕、戦えるんだろうか」

「……いや、いいものかどうかわかるのも大切なことだし。それに魔力があれば魔法も努力すれば使えるから。折角だから見せてみろ」

「どうやって見るのかな?」

「あそこに白い石の台があるだろう? あそこに載せると中身のデータが見れるんだ。行こう」


 そこでカイルが僕の手を握る。

 温かくて大きい手で僕は、ほんの少しだけ不安が安らいだのだった。








 カードを乗せると、レベルやら数字やらが現される。

 僕としてはそこそこかなと思っているとカイルが小さく呻いて、


「タクミにはずいぶん沢山の魔力があるんだな」

「そ、そうなんだ。じゃあ魔法は使えるかな」

「ああ。十分に」

「あとで教えてもらってもいいかな?」

「いいぞ。タクミが危険な目に合わないように魔法を教えてやる」

「頼ってばかりで、その、ありがとう」

「……そうだな。それで俺が無償で働くような人間だと思うのか?」


 そこで意地悪く問いかけてきたカイルに僕は黙ってしまう。

 確かに言われてみたらそうなのだ。だから、


「も、もしこの特殊能力が使えそうだったら全力でカイルのお手伝いをするよ!」

「……でも“鑑定スキル”だろう? 何に使う? 生憎俺は、何かを採掘する趣味はないが」

「う……ど、どうしよう。そうだ、アルバイトでお金を稼いで……」

「タクミは素直すぎて、俺は不安になる。それと人の行為は素直に受け取っておけばいい。俺がそうしたいだけだから」

「でも……」

「俺がそうしたいだけだ。それに異世界人にも興味があるし、そのうち異世界の事を俺に話してくれればそれでいい」

「……うん。ありがとう。カイルは優しいね」


 そう僕が言うと、カイルは押し黙って後ろを向いて小さく震えている。

 尻尾がやけに揺れているが、どうしたんだろうと僕が思っているとカイルが振り返り、


「さて、特殊能力は確かに“鑑定スキル”であるようだが、“無機物かは問わない”か」

「あれ? 本当だ。小さく文字が書いてある」


 小さく描かれた文字にはそのような注意書きがある。そこでカイルが、


「珍しいな。普通は無機物だけなのに。後で、使い方を教えてやるから、試してみよう」

「う、うん」


 そう答えながら僕は、普通じゃない“鑑定スキル”なら何かの役に立つのではと期待に胸を膨らませたのだった。







 先ほどの約束通り、僕たち二人は先ほど会った猫耳少年メルと謎の青年レイトの所に。

 カイルがどことなくいやそうなのがなんでだろうと僕が思っていると、メルがレイトに、


「おい、誰だ? 僕は知らないぞ、レイト」


 そんな風に聞くメルにレイトはふんわりと微笑んでから、


「許嫁です」

「「え?」」


 予想外の答えに僕と何故かメルが声を上げる。

 そんな僕を見てからカイルは狼耳を一瞬ぴくっと怒ったように立たせてから、レイトを冷たい目で一瞥し、


「気色の悪い冗談はやめろ。ただの幼馴染だ」


 カイルがそう、答えたのだった。

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