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第68話(ようやく再会できました)

 小さな振動。

 前もこんなことがあったなと思って、そういえばメル達の件であったなと思い出した。

 とりあえず、窓の外を僕は確認して無事なのだけは伝えようと思った僕だが、何かかが壁などを破壊して駆け上ってくる音が聞こえる。


 大きい物が駆け上がる鈍い音。

 そこでレイスが、


「……この館には結界が沢山張っておいたぞ。それが粉々にされて壁ごと打ち破られている、だと?」


 冷汗を垂らすように呟くレイス。

 いったい何が近づいてきているんですか!? と僕が思っているとそこで、大きな音がどんどんこの部屋に近づいてきてそして目の前の壁が打ち破られて、僕の前に現れたのは、“銀色”だった。

 破壊された壁から差し込んだ窓の光に、銀に輝く大きな獣。


 こんな綺麗なものが存在するのかと僕は息をのむ。

 暗い夜に見ただけだったから分からなかったけれど、その灰色の毛が柔らかく舞い銀に彩られるその様はとても神々しい。

 そこで、澄んだ青い瞳が僕を捕らえた。


「タクミ」


 その獣はそう僕を呼んだ。

 それだけで僕は、体が勝手に動き出して、そのままその銀色の狼に抱きついた。

 柔らかくふわふわして温かい。


 傍にいるととても安心してしまう。

 するとそこで銀色の毛並みが白く輝いて、人型に戻る。

 そこにいたのは僕のよく知っているカイルで、僕をやさしく抱きしめる。そして、


「心配したぞ、タクミ」

「うん」


 そう言って頭を撫ぜられる。

 それが心地よくてぼんやりしてしまうのだけれどそこでカイルが、


「それで、そこにいる竜人が、“俺の”タクミを攫ったのか?」

「え、えっと、カイル、話を聞いて欲しいんだけれど……」

「タクミは優しいから庇おうとするかもしれないが、俺は許せない。たとえタクミが何を言っても、だ」


 優しく諭すような声で、カイルが僕に言う。

 意思を絶対に曲げないといっているように聞こえる。

 どうしようかな、と思って僕は……聞くことにした。


「カイル、一つ聞いていいかな」

「なんだ?」

「カイルが銀狼の国の王子だって、本当?」


 そこでカイルが沈黙した。

 数秒ほどではあったけれど、すぐにカイルは、


「そこにいる竜人に聞いたのか?」

「うん。それで僕、カイルの口から聞きたいんだ。その、ね、一緒に居てくれたのは、カイルの罪悪感から、なのかな?」


 その問いも答えづらい物であったらしくカイルは黙ってしまう。

 意地悪な質問だったかもしれない、そう僕は思いながら、別の質問を聞いてみた。


「僕の事が好き?」

「それは当然だ!」

「そうなんだ、僕も、カイルが好きなんだ」


 再びカイルは沈黙してしまう。

 僕は見上げるようにカイルを見ると顔が赤い。

 そして僕の視線に気づくと、ギュっと強くカイルが僕を抱きしめて、


「タクミ、愛してる!」

「僕も……連れ去らわれて色々恋愛相談をしたりして、カイルが好きだって自覚したんだ」

「……そうなのか? 花嫁にするとかしないとか」

「僕、とばっちりだったらしい」

「……」

「だから見逃してくれないかな。彼、レイスは、僕に花嫁衣裳をくれて、カイルに花嫁衣裳な僕をくれるっていう話になっていたけれど」

「……自分からこの衣装はタクミは着たいと思うか?」

「思わないかな?」


 その答えにカイルは僕をまじまじと見てから、


「まあいい。このプレゼントは気に入ったから、“言い訳”くらいは聞いてやる。タクミもそう望んでいるようだから」


 そう、カイルは凍り付いていたレイスにそう告げたのだった。

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