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第62話(僕の鑑定スキルの真実)

 この時、僕はこの人は意外にいい人だなとレイスの事をおおっていた思っていた。

 けれどふらふらとした頭では意識がもうろうとする。

 変だな、いつもはこんなじゃないのに……そう思う。


 そこでレイスがリファスに、


「そういえばなんであの……連れてきたあいつは体調が悪そうなんだ?」

「……おそらくはですが……情報を読み取りすぎたのでしょう。この魔法は、非常に複雑で難しいものですから」

「そうなのか。万能近い力があると俺は聞いたがな」


 レイスのその言葉に僕はえっ? と思う。

 万能に近い力ってそんな話、僕は知らない。

 聞いたことも無い。


 この人達は何を言っているんだろう、そう僕はぼんやりと思いながらその話に耳を傾ける。

 だってその話には思い当たる節があったから。

 本来の“鑑定スキル”はもっと能力が無生物(草なども含むが)であったらしい。


 誰も知らなかった、メルの弟の病気だって、治療法が分かってしまう。

 奇妙な知識。

 特殊能力チートだから僕にそんな力があるのかと疑いもしなかったけれど、僕には別の役割がある?

 

 それにこの世界の神話の話をリファスはしてくれたけれど、それには空から落ちてきた人間で“真実の瞳”がどうのと……。

 この力は何だろう。

 未知のものに対する不安が膨れていく。


 だからかもしれない。

 無償にカイルに会いたくなる。

 連れてこられてそんなに時間がたっていないけれど……あんな風に告白されてしまった。

 

 答えは、まだ出ない。

 違う。

 僕が初めてだから怖いのだ。


「カイル」


 熱にうなされるように名前を呼ぶ。

 頭が凄くぼんやりする。

 そこでレイスが、


「何かぶつぶつ言っているが大丈夫か?」

「ええ、神話上でもこの異変の場合は、随分と複雑な“情報へのアクセス”が必要となってしまうために、その人物の負担が大きいと書かれていました」

「……きつい魔法であるのは確かだな。だが即効性があるのと、彼以外に無理というのは本当なのか?」

「そうですね。だから彼にはこれからも、回復してから手伝ってもらう事になりますが」

「“世界の根幹アカシック・レコード”、この世界を構成する全ての情報が詰まっている場所に直接触れられる、“この世界に愛された者”であり“神子”だったか? 完全な存在であるから、男でも獣耳や竜の耳もないというが……」

「異世界から呼び出した者に我々にあるような耳が無いのは、ただ単に繁殖がしやすい性質を表しているだけという説もありますが、多かれ少なかれ、特殊能力チートと呼ばれる能力を有するのは、“世界の根幹アカシック・レコード”の情報をもとに自分の中で能力を“再構築”しているからなのでしょうね。ただ特殊能力のうち“真実の瞳”の場合は、異世界人の魔力が大きく特殊能力を気軽に使えるといっても、情報量が多いと取捨選択が大変なので、ああいったように負担になってしまうようですが」


 痛ましそうな声で僕に対してリファスは言う。

 負担が来ている。

 それが今の状態であるらしい。そこで、


「これで完成です。後は起動してみて……魔力を注いで……上手くいっているみたいですね」

「確かに起動しているな」

「そうですねレイス、貴方の手伝いもありこんな早く出来ました。礼を言います」

「……礼なんて言う必要はないさ。これから俺は俺の目的のために行動するのだから」

「レイス?」


 そこでリファスがレイスの名前を呼ぶとばたりと倒れる。

 そして思いつめたようなレイスがリファスを僕達の馬車に連れてきて寝かせ、御者に連れて帰るよう告げる。

 けれどレイスは動けずにいる僕に、


「お前には俺と来てもらう」


 その言葉を最後に、僕の意識はぷつりと途絶えたのだった。


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