第57話(美味しいものを用意しましょう)
僕の“鑑定スキル”が必要であるらしい。
でもこの力で調べてもらいたいものってなんだろうと思っていると、目の前の彼は、
「ただその前にその、“鑑定スキル”自身を調べさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「調べる、ですか?」
「貴方の“鑑定スキル”は異常に精度がいい。その点で気になる部分もありまして……神話に出てくる、“真実の瞳”というものをご存知ですか?」
「いえ」
どうやらこの世界の神話だかなんだかに、僕の能力に似た何かがあるらしい。
そう思って僕は黙っていると、
「その話はこうです」
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ある所に一人の村人がいました。彼の周りには荒野が広がっており、食べるものも殆どありません。このままでは植えて死んでしまいます。なので彼は、神様に助けてくださいとお祈りをしました。すると空から人が降ってきます。その人物は、獣といった耳がない男でした。彼はどうしてこの世界に連れてこられたのかは分からない。けれど村人は彼が、神様がこの世界を助けるために呼んでくれたのだと考えました。そこで耳のない彼はいいます。『何故この世界はこんなに枯れ果てているのかと』村人とは答えます『ずっと天候もおかしく魔物が跋扈して、農作物もあまり育てられないのです』そこで耳のない人は少し考えてから地面に触れました。すると、どうすれば再びこの場所が緑豊かになるのかがわかったのです。こうして、そのとおりにすると昔のような森が荒野に現れました。それから村人とその耳のない人は二人で、世界を癒やして回りました。そんな彼らが作り上げた国が今の、銀狼の国フェンリルなのです。
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「というものです。ですからあの銀狼の国ではよく異世界からの召喚が行われているのです」
「そ、そうなのですか」
僕は今、異世界人と気づかれたのだろうかと思った。
この人はどういうつもりなんだろうと僕が思っていると彼は、
「その方の話を私は貴方があの“鑑定スキル”を使った時に感じました。そして貴方の力があれば、この世界に起きているあの神話のような事象をどうにか出来るかもしれません」
「そのために僕を?」
「……ええ。ですので、調べさせていただいてもよろしいですか?」
今ほんの少し間があったようなと僕が思いつつ、そこで僕はあることに気づいてとっさに胸を隠して、
「い、痛いのは嫌です」
「大丈夫です、普通のものを幾つか鑑定していただくだけですから。……でも何で胸を隠すのですか?」
不思議そうに問いかけられた僕はハッとした。
男だと何度も確認するのに胸を触られたあの経験を僕はいつの間にか学習してしまったのだ。
何て事だと僕がある種の絶望を感じているとそこで、僕のお腹がぐぅとなく。
こ、こんな時にと僕が思っていると目の前の竜の人が小さく笑い、
「でもその前に食事を用意させましょう。お腹が空いてはやる気がでないでしょうから。美味しいものをご用意しますよ、楽しみにしていてください」
そう彼は告げたのだった。
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