表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/73

第56話(カイルの秘密)

 カイルは、部屋のドアを開けるなりレイトに、


「タクミは戻ってきているか!」


 その問いかけに、丁度メルを押し倒して上半身の服をはだけさせようとしていたレイトが恨めしそうに、


「もう少しで押し倒せた所で何か御用ですか? カイル」

「タクミはやはりいないのか」

「? 湖に二人っきりで行ったのでは?」

「……攫われたかもしれない」


 ポツリと呟いた言葉にレイトが目を細めて、


「どうしてそう思われたのですか?」

「タクミと少し話をしていて、タクミだけが先に走って宿に戻ったはずなのに、途中の道でタクミの靴が片方落ちていた」

「なるほど。確かに靴を片方落としていなくなるのは妙ですね。ですがそれではタクミはどこかに逃げたということになって、森の中にはいった……いえ、そこまでタクミが無謀というのも変ですね。逃げるなら、我々の宿かカイルのいる場所に逃げたほうがよほど安全だとすると……その場から、“転移”した?」


 ふとレイトが呟いた言葉に、押し倒されていたメルが大きく目を開かせて、


「“転移”って道具やら設備やら魔法が複雑で強い力がないといけなくて、王族じゃないと使えないような特別な魔法じゃないか。……まさかその王族が!」


 メルがそう衝撃を受けたように話しているがその様子を見て、メルとかいるが顔を見合わせて、吹き出した。

 メルはどうして笑われているのか分からず目を瞬かせて次にレイトを睨みつけて、


「何で僕を笑うんだ」

「いえ、そういえば話していなかったなと」

「何が! あっ、み、耳は止めっ……」


 そこで獣耳にレイトがキスをしてビクンとメルが体を震わせて、頬を赤らめる。

 このまま続きにはいってしまいそうだと感じたカイルが、


「レイト、今は緊急事態だ」

「……私としたことがメルの可愛さに惑わされてしまいました。……それでカイル様、そのタクミの靴には魔力の残渣がありませんでしたか?」

「竜族の、転移の魔力をかすかに感じた。だが何処に逃げたのかは遠すぎて分からない」

「なるほど……ふむ。ですか竜族の気配で転移能力を持つ王族……。これは一度城に戻って、直接交渉するしかなさそうですね。王族からの問いかけともなれば、あちらも答えないというわけにもいかないでしょう」


 そういった話をしているとそこでメルが、


「な、なんだか今の話を聞いていると、王族と直接話せるように聞こえたのだけれど」

「どうしますか? カイル」

「……どうせ知られるのならもうここで話したほうがいいか。俺は、銀狼の国、フェンリルの第一王子、カイルだ」


 メル画沈黙してレイトを見上げて次にカイルを見て再びレイトを見上げ、


「本当?」

「本当ですね。でもメルの驚いた顔は可愛いですね」

「な、何を言って、や、やめっ、耳は……」


 小さく震えながら耳にレイトがキスをして感じさせられるメル。

 その仲の良さげな様子を羨ましいとカイルは思う。

 カイルもタクミと……と思ってしまう。


 同時に絶対にタクミを取り戻してやると決める。

 誰にも渡さない。


「タクミは俺のものだ」


 そう小さくカイルは呟いたのだった。


評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ