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第46話(自分が不利になったと確信したらしく)

 屋敷響いた轟音。

 エルダ伯爵が、青い顔をして凍りついている。

 なのに耳かピコピコ動いているのは周りの音に、注意を払っているからなのか……。


 そこで何かを言い争う声が下の方で聞こえる。

 離れているために何を言っているのかはよく聞こえないが、どうやら一人を外の二人が止めているようだ。

 すると、下の方で何かが光ったらしいことが外に開けた穴から分かった。


 同時に風が上の方に吹き、


「ぎゃあああああ」


 といった何者かの悲鳴が聞こえる。

 どこかで聞き覚えのある悲鳴が聞こえたとともに3つの人影が先ほどの穴の目に現れる。

 それは僕の見知った人物で、


「カイル!」


 降り立ったその人物に抱きつくと嬉しそうに、僕の頭を撫ぜたのだった。








 こうして僕達が囚われた場所に来たものの、そこでレイトの脇に抱えられる様にしてここに現れた、涙目のミストフィアが、


「こ、こんな突然飛ばされるなんて。普通に屋敷の入り口を壊して潜入すればいいのに」

「そうするとなんの関係もない使用人達を巻き込むことになるでしょう。そもそも貴方がもう少し前に素直になっていればこんなことにはなっていなかったでしょう。カイルが激怒しているのを抑える僕の身にもなってください」

「う、それは」

「しかも、もう少し穏便に済ます予定がなんでいきなり屋敷に攻撃になったのですか?」

「……屋敷を見たらついイラッとして」

「……メルの兄だということがよくわかりました」


 そこで引き合いに出されたメルが怒ったようにレイトに、


「レイト、僕はそんな無茶はしないぞ」

「……以前、マタタビ酒を飲んだ時に何があったのか、もう忘れたのですか?」

「あ、あれはたまたまで……」

「他にもあった出来事を、詳細に今ここで、お兄様のいる前でお話してもいいのですよ?」

「……にゃーん」


 メルは自分が不利になったと確信したらしく、にゃーん、と猫のような鳴き声を上げて誤魔化した。

 けれどすぐにレイトはメルの頭を撫でて、


「心配しましたよ?」

「……うん。でも来てくれて嬉しい」


 珍しく素直なメル。

 それにレイトがギュッとメルを抱きしめてミストフィアが引きはがそうか、それとも見守ろうか葛藤しているようだった。

 そこで再び僕はカイルに頭を撫でられて、


「可愛い可愛い。また洗脳をしておかないと」

「う、うう……うにゃ」

「でもタクミが無事でよかった。危なくこの屋敷ごと消滅させて他にも色々と制裁を……ではなく、いや、怒りのあまりに暴走しかけていたが、ミストフィアの話を聞いているうちに段々と、全ての原因が彼にあるのが分かって、毒気が抜かれてしまった」

「あ、はい……そうですか。こちらもエルダ伯爵の話を聞いていたら、そういう事らしくて」

「そうか。だが勝手にこじれる分には問題ないが、他人を巻き添えにするのは良くない。俺だってタクミが攫われたと聞いて……頭が怒りでどうにかなりそうだった」


 そう言ってカイルが僕を抱きしめる。

 凄く心配をかけてしまったらしい。

 申し訳ない気持ちになりながらも助けに来てくれたことと、僕が攫われて怒ってくれたことが、カイルが僕を大切に思ってくれているのが“嬉しい”と感じてしまったのだった。


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