第40話(こ、こんな人だなんて思っていなかったのに())
ふっと僕の意識が浮上した。
フカフカの柔らかいベッドの上だと思う。
思って同時に、僕の側に誰かがいるのに気づいた。
「……! カ、カイル」
僕が名前を呼ぶと、切れ長な瞳がゆっくりと開き、僕を映した。
こうやって近くで見るとカイルは美形だなと再認識させられる。
これだけ綺麗なら周りは放っておかないだろう。
だから逃げて来たのかなと僕は思う。
でも、何から逃げて来たのだろう、すでに婚約者なんかもいたりするのだろうか?
そんな考えが頭に浮かんできたけれど、すぐにカイルは男だ! と僕は正気に戻った。
そもそも僕はどうして眠っていたのだろう?
確かスライムに襲われて、目的のあの草はとれたのだろうか?
そう思って僕が起き上がろうとした所で、ある事に気づいた。
僕は裸だった。
裸でカイルの横に寝ていた。
この世界は男同士でよくある。
つまり……。
こ、こんな人だなんて思っていなかったのに()、といった台詞が頭を駆け巡るがそこでカイルが、
「スライム液だらけに体がなっているようだから、お湯で拭いて綺麗にしておいたが……なにかおかしな所はあるか?」
「え、えっと、ないようです」
「そうか、良かった」
僕を心配してくれているらしいカイルに僕は、疑ってしまった罪悪感を持つ。
色々と迷惑をかけてしまった、そう思っているとそこで、
「“マタタビ森草”は幾つも手に入った。採りきれないほど群生していた。タクミやメルが囮になってくれたから、容易に取ってこれたのかもな」
「う、うう……採れたのは良かったけれどあのスライム責めはもう味わいたくない」
「そうだな、よく頑張ったな、タクミ」
そう言ってカイルが頭を撫ぜてくる。
それが心地よくてぼんやりしているとそこで、
「タクミ、声がするから起きたの……か……失礼しました」
「メ、メル、誤解、誤解だってばぁあああ」
まるで何かの空気を読んだかのようにそっと扉を閉めたメルに僕は、そう叫んだのだった。
それから僕は、服を貸してもらい着てみることに。
「……これ、女の子が着るような服な気がする」
「? そうか? 都市ではそういった物を魔法使いははいていたが」
「そうなんんだ? 魔法使い……僕も魔法使いに入るのかな?」
といった疑問を持ちつつ、ショートパンツに白いブラウス、そして黒いニーソと靴。
その上にマントのようなものを羽織るのが良いらしい。
とりあえずはその格好になり、それから作ってもらったものの食べそこねた昼食を、別荘のテラスで、メルとレイトと一緒に僕達は頂いた。
お腹いっぱいになると眠くなるのはよくあることで、くてっとなっていたメルが猫に“獣化”してひなたぼっこをしに行くも、何故かレイトの挑発により、白鳥になったレイトと戦ってまたも負けていた。
これらが二人の愛情表現なのかもしれない。
そして手に入れた“マタタビ森草”を僕も見せてもらったがいい香りのする草で、メルが気になって仕方がなかったらしい。
マタタビのような効果があるので、それにメルが惹かれているのだろうという。
それらの後、僕達は管理人さんにお礼をいい、屋敷を後にした。
まさかこんなにすぐに手に入るとは思わなかったねと僕達が機嫌よく話しながら戻ってきたのだけれど……。
「様子がおかしいな」
カイルがメルの屋敷を見て、そう呟いたのだった。
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