第36話(お友達も一緒に旅行することに!)
こうして僕達は別荘に向かう。
ミストフィアは僕達を別荘において帰るそうだ。
道案内のために乗っているらしい。
「僕だって別荘への道は分かります」
「それで、今まで何度道に迷ったのですか?」
「……にゃーん」
メルがいじけたように、“獣化”してミストフィアの隣から逃げ出してレイトの膝の上に乗った。
それを見たミストフィアが眉を寄せて、
「メル、失礼ですよ」
「にゃーん」
「にゃーんじゃなくて……申し訳ありません」
「いえいえ……。そういえば、私の事を、ねちっこくてさり気に鬼畜腹黒だからあまり近づかない方がいいとおっしゃっていたとか」
「ごふっ」
そこでミストフィアが吹き出して、青い顔でメルを見た。
「メル……」
「にゃ、にゃーん」
焦ったように誤魔化そうとメルがニャーニャーないている。
レイトはどういうつもりなのだろうと僕が思っているとそこで、レイトがにこやかに、
「悪口を見逃しますので、城に戻る旅をメルと一緒に行っても構いませんか?」
「……何故、脅すような真似をする」
ミストフィアが警戒するように聞いてくるも、レイトは小さく笑い、
「いえ、私は今のように色々考える余裕のない時期であれば、メルとの旅行を許していただけるかなと思っただけです」
「どういうつもりだ」
「ただ単に私がメルを気に入っているだけです。それでメルはどうですか?」
レイトがメルに話を振ると、
「ぼ、僕ももう少し、レイトやタクミ、カイルと旅がしたい」
メルが自分からミストフィアにお願いをする。
そこで黙ってしまうミストフィアだが、それにカイルが、
「俺からもお願いできないか? タクミとメルは仲がいいし、城に着くまででいいからお願いしたい。安全は俺とレイトが保証する」
それが最後の一押しとなったようだ。
ミストフィアが深々とため息を付いて、
「……分かりました。カイルさ……がそこまで言うならば。確かにこんな機会でなければ旅も出来ないでしょうそ」
「ありがとう。そして、レイトが妙な脅しをしたのを謝っておく。ただ単に皮肉を一言言いたくなっただけだと思うから、許して欲しい」
「いえ……というかメル。どうして家族内でこっそり言っていた悪口をいうのですか!」
「にゃぁんんっ」
そこで猫化したメルの頬がミストフィアに引っ張られて、メルが悲鳴をあげる。
それをさっとレイトがミストフィアの手を外し、代わりに頭を撫ぜる。
可愛がるような優しい様子にミストフィアは何かを感じ取ったらしい。
警戒するようにレイトを見る。
そんなミストフィアにレイトは、
「メルももう大人ですし、自分で考える事が出来ると思いますよ?」
「……決めるのはメルだ」
もちろんです、とレイトが優しげな表情でメルを撫ぜ、答えたのだった。
さて、どさくさに紛れてレイトがメルの旅行許可をとったのはいいとして。
案内された別荘は綺麗な屋敷で、馬車から降りると管理人が出迎えてくれた。
必要な物を探すために客人を泊めて欲しいといった話をしてもらい、それから部屋へと案内してもらう。
そして管理人に昼食を急だがお願いをして、飲み物と一緒に編み籠に入れてもらう。
他にこの別荘周辺の地図を貸してもらい、また、注意した方がいい場所を幾つか聞く。
ただこれから向かう場所の一つに、注意するものがあるらしい。
「スライムに服を溶かされないように注意、ですか?」
僕が聞き返すと管理人の人は頷く。
さすが異世界で危険が少ないけれど、それっぽい魔物もいるんだなと、その時は僕は深く考えずに思ったのだった。
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