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第34話(この事は内密にお願いします)

 こうして明日は“マタタビ森草”を探しに行くことになり、本日は就寝という運びになった。

 そしてレイトが寝室に向かおうとすると、それにメルが付いていくが、


「メル、ここはメルのお屋敷です」

「は! そうだった。つい癖で……」

「相変わらずその間抜けな所が可愛いです。そんなに私と一緒に寝たかったのですか?」


 レイトが意地悪なことを言った後に、仕返しできないような意地悪な質問を浴びせかけた。

 しかも、するりと腰に手を回して、メルの顎をクイッとレイトは持ち上げた。

 レイトは獲物を狙うような鳥、という雰囲気を醸し出している。


 それに凍りついていたメルだ、すぐに猫耳を震わせて、


「う……うわぁあああああんんっ」


 結果はご覧の有様……ではなく、敗北を悟った涙目のメルが、顔を赤くして走り去ることとなった。

 今頃自分の部屋のベッドに潜り込もうと……距離から考えるとまだ走っているかもしれない。

 とりあえず僕も追いかけることにした。


「タクミ」


 そこで僕がカイルに呼び止められて振り向くと、カイルに近づかれて額にキスされる。


「!」

「おやすみのキスだ。また明日」

「う、うん、また明日」


 微笑むカイルに僕は頷きながら、必死で胸の動悸を隠そうと思う。

 少しぎこちない動きになりながら部屋を出て、メルの部屋に向かって行くとそこで、やけに浮かない顔をした執事のスウィンに出会う。

 何か、考え事をしているようで僕に気づいていないらしい。


 そこで、目の目にきてようやく僕の存在に気づいたらしい執事のスウィンが、


「確か、タクミ様でしたか」

「あ、はい。様付けではなくていいです」

「いえ、当家の客人ですから、そういうわけには参りません」


 お仕事の関係で、そう言わないといけないらしい。

 むず痒いなと思いながら僕は、


「あの、不安そうな顔ですがそんなにその、薬の材料を集めるのが難しいのですか?」

「私はそんな顔をしていましたか? 失礼いたしました」

「い、いえ……ちょっと気になっただけです。それで、どうなのでしょうか?」

「……そこそこ遠方になりますが、難しいですね。それであれば、エルダ伯爵から譲り受けた方がと進言したのですが、なかなか頷いていただけなくて」


 考えこむようにスウィンはそう答えるが、僕としては前から気になっていたことがあって聞いてみた。


「そういえばエルダ伯爵とはミストフィアさんとはどのようなご関係なのですか? 仲が悪そうですが」


 そう僕が問いかけると、スウィンは何とも言えない顔になった。

 この微妙な反応が気になっているとスウィンは周りを見回し、他に誰も居ないのを確認してから深々とため息を付いた。

 そして僕に向かって、


「この事は内密にお願いします」


 小さな声で話しかけてくる。

 なにか特別な事情でもあるのかと思っているとそこで、


「実はエルダ伯爵は、ミストフィア様のことを愛していて、手に入れたいと思っているのです」


 そう、今の話からどうしてそうなった、というような情報が僕にも取らされたのだった。


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