第33話(可愛がり攻撃)
こうして僕の能力により、全ての材料の場所が判明した。
とりあえずはそれらを紙に記載して、
「メルのお兄さん、ミストフィアさんの所にお届けしよう。そうすれば、もう少し話が早いかも」
「よし、今だと多分、執事のスウィンと作戦を練っていそうだから、うにゃん!」
そこでメルが変な声を上げた。
見るとレイトに後ろからメルが抱きしめられて、耳をハムハムされている。
メルは顔を赤くしてはあはあ言っている。
そういえばよく漫画なんかのエロ設定……ではなく、よくある設定で、尻尾や獣耳がすごく感じていたような気がする。
この世界の獣人もそうなのかもしれない。
でも、カイルの場合は獣耳を触ったけれど、特にそんな反応はなかったなと僕は思った。
そこで何者かに再び僕は頭を撫ぜられてしまう。
「可愛い、可愛い。とりあえずはこまめに言っておかないと、洗脳が解けてしまうからな」
「カ、カイル、僕は、平凡で……うにぁ」
「可愛い、可愛い」
不意打ちのカイルの可愛がり攻撃。
しかも頭まで撫ぜるという技まで付けて、こんな事をされて囁かれたら……く、洗脳されてたまるか、僕は平凡で一般的な人間なのだぁああああ……にゃぁあ、気持ちいい。
僕の中の頑なな心がが解かれていくような……。
そう僕がカイルに、可愛いとチョロく洗脳されかかっていると、
「失礼します。もう一度リーフィアのステータスを……」
現れたミストフィアが僕達の方を見てどうしたものかというかのように見た。
慌てて僕はカイルから離れて、そういえばレイト達はと思ってみると、真顔でレイトとメルは僕の方を見ていた。
すでに二人は離れていたらしい。
つまり僕だけがカイルに可愛いと言われて頭を撫ぜられているのを目撃されて……今更ながら羞恥心が僕を襲う。
そこでミストフィアが僕だけに目を移してから、
「“鑑定スキル”をお願いできますか? リーフィアのモザイク部分にもしかしたらもっとヒントが隠されているかもと思いまして」
「それは、あの材料がどうやって手に入るかが問題なのですか?」
僕が問いかけるとミストフィアが頷き、
「ええ、エルダ伯爵にはどうしても借りは作りたくないので、出来る限り我々でなんとかしたいのです。もっとも幾つかは、お金で解決できそうですが」
「そうなのですか。あと必要な物は、どれなのですか?」
「“マタタビ森草”“ロエアルト水”です」
そこでメルがすっと兄に、それらが採れる場所を書いた先ほどの紙を見せた。
それを見たミストフィアが目を丸くして、
「これは!」
「やり方を変えてタクミの能力を使ってみたんだ」
「確かにこれなら、とりにいけます。特にここはうちの別荘がある場所……」
「僕もこの別荘に採りに行こうか? 場所は知っているし」
「いえ、メルを危険に晒すわけには行きませんからこの屋敷にいなさい」
「そう言うとまた家出してやる」
「メル……」
嘆息するミストフィアに、そこでレイトが、
「では私が一緒に付いていくのではどうでしょう」
「……ですが」
「あ、僕も一緒にいく。カイルもいいかな?」
「いいぞ」
渋るミストフィアに僕も一緒に行くしカイルもいいかなと聞くと、いいと答える。
僕達四人ならきっと信用できるはずと僕が思っていると、
「よろしいのですか?」
「構わない」
何故かカイルに念を押すように聞くミストフィア。
そういえば顔見知り? のようなものだったはずと僕が思い出していると、
「副団長のレイト様もいますし、安全とは言えそうです。では、片方の“マタタビ森草”をお願いします。但し今日は遅いので出発は明日に。別荘への馬車の手配も事前にしておきます……ありがとうございます」
ミストフィアは僕達にそう言って、もう片方の材料を集める計画を、執事のスウィンに話しに行ってしまったのだった。
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