第32話(ふわっとした感じで)
カイルに問いかけられたメルは、先ほど“鑑定スキル”によって必要になったものの話をする。
「“マタタビ森草”“クラッケン石”“メメアの花”“ロエアルト水”どれも貴重で手に入れるのが難しい品だな。以前、貴重な物図鑑で見た記憶が有るが……」
カイルが呻くように呟き、その話を聞いて僕は、
「そういえばミストフィアさんもそう言っていたかも」
「タクミのその“鑑定スキル”では何処で採れるかといった情報は出ないのか?」
「そこまでは、表示されなかった」
そう言われて僕は、これでは力になれないと気づいて気落ちしてしまう。
これで手に入れたいものが何処にあるのか情報があれば、そう僕が思っているとそこでレイトが、
「そういえばそのタクミの“鑑定スキル”はどうやって、表される内容が決定されているのでしょうか?」
「えっと、何となく使っているので僕にはよく分からないです」
「……何となく、ですか。ふむ。普通なら、“鑑定スキル”として表される要素も設定ができるはずです。それによって魔力の消費量が違いますしね」
「え! そうだったのですか! でもそうなると能力の発現条件ってどうなっているんだろう」
ただ単に、“ゲーム”みたいに? といったふわっとした感じで魔法を僕は使っていたのだ。
でもこうやって大量の情報が出てくる条件が、僕の中である程度設定されているらしい。
けれどそれをどうやって知ればいいのだろうか?
そう僕が思っているとそこでレイトが、緑色の表紙に金色の意匠の施されたある本を取り出してきた。
「旅のお供に、貴重な物が載っている図鑑を持ってきたのは、良かったのかもしれません。まずは“マタタビ森草”ですが……これですね」
そう言って見せてきたのは、猫耳がいくつもついたような草の絵だった。
下の方を見るとそこには、“マタタビ森草”と書かれている。
でもこれを見せられて僕はどうしろというのかと思ってレイトを見上げると、
「もしかしたなら、タクミのその発動条件には連想されるものが、細かく情報が表示されるのかもしれません。リーフィアの病気の話を聞いて、治ったらなと思いませんでしたか?」
「それは……病気の人がいたらそう思うよ」
「それが連想されて、ステータス画面に出てきたのかもしれません。そしてここには植物などの図鑑があります。これから連想して、産出地や採取地を呼び出したり出来ませんか?」
その提案に僕は、なるほどと思って、図鑑に向かって、正確にはその絵に向かって“鑑定スキル”を使う。
ピンク色の光の枠が出てきたかと思うと、大量の採取地などの情報が出ていて、そのうちの一つを見ていたメルが、
「確かこの場所、別荘の近くだ」
「本当! じゃあそこに行けば手に入るね! ここから遠い?」
「そこまで遠くない。よし、他のも全部調べて、ミストフィア兄様に報告だ! レイト、タクミ、ありがとう!」
メルが嬉しそうにレイトにお礼をいい、次に僕にもお礼をいう。
いいことをした気持ちになりながら、僕は更に別の必要な物を探して“鑑定スキル”を使い調べていく。
そんな僕達の後ろでカイルがレイトに、
「やけにレイトはやる気だな」
「メルの弟ですから」
「……なるほど」
そういった会話をしていたのだけれど、場所が幾つも分かった僕とメルはその興奮で全く気づいていなかったのだった。
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