第31話(次は紙袋で行こうと思う)
タクミとメルが、リーフィアの部屋で“鑑定スキル”を使っている頃。
カイルとレイトが別の部屋に案内されていた。
現在二人揃って、ソファーでくつろぎつつ、先ほどレイトが入れたお茶を飲んでいた。
現在布でぐるぐる巻きになっていたカイルの頭は、いつもどおり何もない状態になっている。
そこでお茶を半分ほど飲んだカイルは、ソーサーにカップを置き、
「布で顔を隠す案は、あまり良くなさそうだ。飲み物が飲めない」
「そうですね。ではどうしますか?」
「次は紙袋で行こうと思う。目と口と獣耳の部分さえ開いていれば、何とかなるはずだ」
「……カイル様、そろそろ諦めましょう。絶対にミストフィア様にはバレていますよ」
「いや、何も聞いてこないということは、完全に確信できていないのだろう」
「いえ……ここで聞くのもどうだろうと迷っていただけでは」
「そうなってくると、やはり顔の輪郭が分からない分紙袋のほうがいいか」
真剣に考えはじめたカイルにレイトは嘆息して、
「そこまで気づかれたくないのは、何故ですか?」
「……タクミに気づかれたくない。俺が……」
「それだけ異世界人のタクミを気に入っているということですね?」
レイトの質問に、カイルは沈黙した。
乳兄弟でもあるカイルのその様子にレイトは、
「カイル様にしては珍しいですね、そこまで気に入りましたか」
「……」
「異世界から召喚した相手は、とても好みになることが歴史上多かったので正解でしたね」
「……」
「まあ、別の目的も幾らかあったとはいえ、カイル様が気に入ったのなら“嫁”に……」
「それを決めるのはタクミだ」
そこではっきりとした口調で、カイルがレイトに告げる。
カイルの“嫁”になるのかどうかを決めるのは、タクミだと。
それを聞いたレイトが目を瞬かせてから、
「そうですか。なるほど……まあ、まだ“城への道程は長い”ですから、ゆっくり考えるのも良いのでしょう」
「……俺の根負けを狙っているのか?」
「いえ、私は私でメルをどうやって城まで連れていくかについて悩んでいますから、余裕が無いのです」
「口ではそう言っているが、本心はどうなのかな?」
「意地の悪いい方をしますね。カイル様も経験すれば分かりますよ」
レイトの言葉に反論しようとしたカイルは、そこでドアを叩かれる音を聞いた。
慌てたように袋を被るカイル。
そしてドアをレイトが開けると、
「カイル! 様子はど……う……」
「大丈夫だ、問題ない」
「う、うん、そっか」
そこでタクミは紙袋を被ったカイルに微妙は反応をしてから、
「カイルは紙袋をかぶらないほうが格好いいと思う」
その一言で、カイルは即座に被った紙袋を脱いだのだった。
そんなこんなで、カイル達と一緒にレイトの淹れたお茶を飲んで、リーフィアの話をすることに。
「材料さえあればリーフィアの病気が治りそうなんだ」
「そうなのか。でも、“鑑定スキル”でそこまで分かるものなのか?」
カイルの疑問に僕は、
「でも“ステータス・オープン”したら書いてあったよ? ……カイルが信じてくれないなら、見せつけるまで。“ステータス・オープン”!」
僕はカイルに“鑑定スキル”を使うが、魔法が途中で有耶無耶にされたような変な感じになり、画面が現れない。
「あれ?」
「残念だったな、タクミ。俺には魔法無効化の特殊能力があるからな」
「え? そ、そんな、どこかの主人公みたいな能力!」
「よく分からないが俺に幾らやっても無駄だぞ」
「うぐ、もう一回……うにゃぁ」
そこで僕はカイルに頭を撫ぜられてしまう。
こうされてしまうと僕はもう、もう……。
完全に抵抗できなくなってしまった僕にカイルが、
「それで、詳しい話を教えてもらえるか?」
僕の頭を撫ぜながら、カイルはメルに問いかけたのだった。
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