第29話(涙目で抗議をしたのだった)
必要な材料と、薬の作り方、そしてどのように服用するかについてが分かった。
“鑑定スキル”ってとっても便利な能力だと思う。
そこで僕達の部屋のドアが叩かれて、
「ミストフィア様、リーフィア様へのお薬をお持ちしました」
「そうか、入れ」
そういうと、執事であるスウィンが入ってくる。
先程はよく見ていなかったが、ここで見るとイケメンで黒い猫耳の男だなと僕は思った。
思って、そこで気づく。
リーフィアが凄く嬉しそうにスウィンを見ている。
それはもう僕達が来た以上の笑顔で。
そしてこの世界では男同士がよくあるらしい。
つまり……それ以上は言わなくてもわかるな? という感じである。
そこで薬を煎じたらしい飲み物を、スウィンがリーフィアに渡し、
「いつものお薬です」
「ありがとう。ごくっ」
その薬を飲んでいくリーフィアに、どこか痛ましそうな目でスウィンが見ている。
ギュッと手を握っているのは、自分の不甲斐なさを感じているからなのか。
とりあえずは両思いであるらしい彼。
何となく複雑そうにミストフィアが二人を見ている。
兄としては思う所があるのかなと思いつつ僕は、
「それで、材料はどうする予定なのですか?」
「! そうだ、リーフィアの病気を治す方法がわかったのかもしれない」
そう叫ぶように言うミストフィアに、そこで驚いたようにスウィンが振り返り、
「それは本当ですか?」
「ああ、これから至急、その材料を集めたい。手配をしてくれ」
「分かりました。何が必要なのでしょうか?」
「“マタタビ森草”“クラッケン石”“メメアの花”“ロエアルト水”だ」
「……どれも貴重なもので、一部はエルダ伯爵の領地でしか産出しない物もありますね」
「……どうにかして手に入れられないか検討する。もしかしたなら他所でも僅かながら手に入るかもしれないから」
「分かりました。人の手配をします」
そういった話をして、慌ただしくミストフィアとスウィンは部屋を出ていき、後には僕達とリーフィアが残っていたのだった。
リーフィアは、メルよりも外に出れないらしく、やってきた僕にも興味を持ったらしい。
少しここで会話をしようといった話になり、リーフィアが、
「僕の特殊能力は、言語翻訳能力なんだ」
「へー、そうなんだ。あれ、でもそういえば……」
そこで僕はあることに気づく。
僕の持ってきた漫画が、何故メルには読めたのか。
僕の世界の言語のはずだけれど、僕が触れていたから変質したのだろうか?
そう思って僕は獣耳の女の子達の漫画を取り出し、
「メル、これ、どう思う?」
「? 読めるよ」
「何で読めるんだろう? 僕達の世界の言語なのに」
「……ステータスは、どういった風にタクミは表示されているように見えるんだ?」
「それは僕達の言語で」
「……僕達には僕達の言語で表示されているように見える。“鑑定スキル”によって分析された際に、翻訳されている、とか?」
「“鑑定スキル”ってそんなことが出来るんだ」
「いや、普通はできない。だから特殊能力なんじゃないのか?」
そう言われて僕は、この会話ができるのも、常時微力ながら“鑑定スキル”によって分析されて理解がされ、僕達の言語に置き換えられているのかもしれないと思った。
しかも出力も、各々の言語でされているらしい。
何だかすごい能力だったんだなと僕が思っているとそこでリーフィアが、
「僕と似たような能力があるんだね。兄さんのお友達は」
「そうみたいだ」
メルがそう答えると更にリーフィアが、
「でもあのステータスのモザイク部分は何が書いてあるんだろう?」
「さあ。でも僕も気になるな、タクミ、お願いできる?」
というので試しに僕はメルの“ステータス・オープン”を行い、モザイクを解除したのだが……。
「レイトが恋愛感情で好き……」
「タクミ、読みあげるなぁあああ」
つい読み上げた僕に、メルが涙目で抗議をしたのだった。
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