第27話(交換条件は、何だったのですか?)
こうして馬車は、メルの家……屋敷に到着した。
おかえりなさいませと若くて黒い執事らしき人がドアを開けて、メルの兄、ミストフィアが馬車から降りる。
次にメルが降りると黒い執事らしき人が、
「メルフィア様! お帰りに!」
「スウィン、久しぶり」
「はい。昨日、薬を取りに行ってもらっていた家の者からの手紙を受け取り、ミストフィア様に届けたのは私ですから」
「そうなのですか。やっぱり連絡がこちらに来ていたんだ」
「はい、ご無事でよかったです」
「それで、直接薬を運んでくれたあの人から、スウィンは貰ったの?」
「そうですが……ああ、四つ折りの紙でしたので何か問題があったのかと思ってみてしまったのですが、申し訳ありません」
「あ、いや、そういう意味じゃないけれど、他に見た人はいるのかなって」
「転送陣の方はもしかしたら見たかもしれません。少々昨日は忙しくて、とりに来るまで保管していただきましたから」
「忙しい?」
メルがそう聞き返すと、ミストフィアが、
「その話は屋敷に入ってから僕がする、だから、後ろの……“お友達”が早く降りられるように降りなさい」
「は、はい!」
メルが慌てて馬車から降りて、それに僕達が続いたのだった。
客室であるらしい広い部屋に案内された僕達は、お茶を出されていた。
ナッツの入ったクッキーのようなものがお茶うけに置かれている。
そして何かを言いたそうにミストフィアが、カイルとレイトを見ている。
先ほどまではカイルばかりだったのだが、まるで当たり前であるかのようにメルがレイトの隣に座ったのを見てミストフィアは何かを言いたそうにしながらも、言い出せないでいるようだった。
そこで、変装という意味でお茶に口をつけられない状態のカイルが、
「それで、忙しいとは?」
「あ、はい……それが、弟のリーフィアに必要な薬草がここの所の大雨で被害を受けてしまって、なかなか手に入らなくなってしまったのです。そこで、その、エルダ伯爵の領地でその薬草を入手しようかという話になって……」
そこでメルがぎょっとしたように、
「兄さん、止めましょう、あんな奴に借りを作る必要はありません」
「僕だって関わりあいたくありませんよ。でもリーフィアのためですから」
「兄さん……交換条件は、何だったのですか?」
「……」
「兄さん!」
「……ですがとりあえずは当面は高価ですが、別の場所から薬を手に入れることにしました。メルも知っているでしょう? 薬を運んでもらった彼からの連絡で貴方の居場所が分かったのですから。本当ならこれから迎えに行く所だったのですが、丁度会えて良かったです」
そう言ってメルの兄、ミストフィアがそこでお茶を一口飲んでからテーブルに置き、
「さて、今日は皆さまはお疲れでしょう。部屋割りはどうしましょうか? カイルさ……とレイトさ……タクミさんは一緒の部屋にしますか?」
「あ、だったら僕も……」
「メルは自分の部屋があるでしょう」
「でも……」
「だったら、タクミさんとだけは許しましょう。猫耳族であるようですし」
ミストフィアがそう言うが、僕はというと偽物の猫耳……でも、メルがやけに嬉しそうだ。
「友達と同じ部屋でお泊り!」
僕はカイルの方を見ていいかなと聞くと、メルなら構わないだろうと答えを貰う。
そしてそれから執事のスウィンに連れられて、カイルとレイトは客室へ。
僕はあとで遊びに行くとカイルに手を振り、ミストフィアに連れられてメルと一緒に、二人の弟、リーフィアに会いに向かったのだった。
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