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第23話(“相性”がいいらしい)

 未来予知と時空間操作の合成能力、“確率操作(弱)”それがメルの能力であるらしい。

 僕はそれを見ながら、


「“運”が良いって、最適な未来を選び取っているとか?」

「そうなのかな? くじ引きでもカードゲームでも勝つことが多くて、これは特殊能力チートだろうって言われてたけれど……」

「けれど?」

「でも、僕の弟はずっと病気のままで、治る気配もなくて何もできなくて……それに僕自身の変わった能力のせいで、途中からあまり自由に外に出れなくて。特殊能力者は狙われやすいから」

「そうなんだ」


 僕はそう答えると、メルに嘆息されてしまう。

 なんで? と思っていると、


「タクミも特殊な“鑑定スキル”持ちだろう? 有用だから、もし出会ったのがカイル以外だと、こんな風に旅もさせてもらえずに、異世界に帰ることもできず延々と特殊能力を使わさせられる仕事に……」

「ガクガクブルブル」

「そう考えると、タクミは運がいいとしか思えないな。しかも、カイルの前に落ちてきたんだろう?」

「それはまあ」

「“運”がいいね」


 そう僕は言われて、確かにと頷く。

 カイルに出会えたのはとても“運”がいいと言えるのかもだが、


「でもカイルの毛を使って呼ばれたのだから、それって“運”というよりは引き寄せられた感じがする」

「それだけ相性が良かったのでしょう、カイルとタクミは」


 そこでレイトがそう付け加える。

 どうやら僕はカイルと“相性”がいいらしい。

 なんだか嬉しくなってしまう。


 でも今の話を考えてみると、


「メルは一度自分の家に帰って様子を見た方がいいんじゃないかな? あの人が信頼できるのなら、メルの家で何かがあったのだろうし」

「それは……確かに」

「一度戻って様子を見ないかな? カイル、僕達もメルと一緒に屋敷に行けないかな?」


 そう僕は提案してみる。

 メルはんだ悩んでいるようだったし、メルを攫おうとしている輩がメルのお屋敷内にいるのだとしたら、一人で帰すのも危険だろう。

 そう僕が言うとカイルが、


「タクミは元の世界に戻る時間が遅くなるけれどいいのか?」

「……メルが心配だからいいよ」

「そうか」


 そう言ってカイルが僕の頭をなぜる。

 そもそも僕はカイルと同い年なのにと思うけれど、こうやって撫ぜられると……。


「分かった、タクミがそう言うなら俺もついていく。顔は布で隠すか何かしよう。レイトはどうする?」

「聞く意味があると思いますか?」

「ないな」


 笑うカイルとレイト。

 でもカイルは顔を隠すというから、そんなに知られたくないだろうかと思うのだけれど、そんな僕の気持ちにカイルは僕の表情から気づいたらしく、


「タクミを城まで連れていくと決めたのは俺だからな。タクミがメルの屋敷に行きたいのなら、ついていくさ」

「ありがとう、カイル。カイルはやっぱり優しいよ」

「……特にタクミだけにかもしれないぞ?」

「え?」

「さて、行こうか。確かメルの家は……これから行った先の町に転送陣があるから、それを使った方が早い。場所から考えるとそこまでの料金は高いが、まだ節約すれば俺達の手持ちの費用はその残りで何とかなるだろう。ただその転送費用はそちらの建て替え払いになるが構わないか?」


 カイルが料金を後で請求するとメルに言うと、メルは屋敷に戻ればお金はあるからと頷いたのだった。

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