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第22話(もしかして僕の能力が分かる?)

 特殊能力チートがある、メルはそういった。

 そしてそのせいで狙われたらしい、と言っているけれどそこでカイルが、


「あの荷馬車の薬を運んでいる人物と知り合いのようだったが」

「あ、はい、家によく出入りしているといいますか、昔からいる人で信頼できる方です」

「そんな人が他の人に、特殊能力チートがあるメルの話をするか?」

「それは……」


 そこでメルが沈黙する。

 話によっては、長年の知り合いが“裏切った”事になるからだ。

 しかも更にカイルは告げる。


「そもそもここにメルがいるとは、誰も知らないはずだろう? レイトの前に空腹で倒れていたのだから……少なくとも知り合いがいればそうはならないだろう」

「……はい」


 やはり空腹で倒れていたのが恥ずかしいらしいメルは猫耳がへにょんと気落ちしたように垂れている。

 男なのに“生”の猫耳が、と思ってしまうのは現状では不謹慎だと必死で僕は我慢する。

 そこで更にカイルが続ける。


「となると薬を転送した先、メルの屋敷で何かがあったのでは? おそらくは見かけたと事づてが行っているだろうから」

「! 屋敷で何かあったって、なにが!」

「さあ、俺には分からない。ただ普通に公爵家ともなれば狙われるだろう」

「……それは、まあ」

「しかも俺やレイトがメルの能力を知らないとなると、狭い範囲でしか知られていない能力、隠されていた能力じゃないのか?」

「カイルとレイトは何者なのですか? 僕の兄様も知っていたようだし」


 メルが警戒するように言うがそこでレイトが、


「あれ、私は話していませんでしたか? 銀狼の国フェンリルの、宮廷魔法騎士団の副団長をやっているレイトです。まあ私の場合は魔法が専門ですが、剣も一応使えます。というか、剣でメルを捕まえようとした普通の暴漢を倒したこともあったでしょう?」

「そういえばこの町で一番強いと言っている男だとかなんとか自慢していたような……レイトが簡単に気絶させてたから弱いのかと思っていたけれど、まさか」

「メルのそういった抜けた所も可愛いですね」

「むかっ、でもそういえば、銀狼の国フェンリルの、宮廷魔法騎士団の副団長である白鳥は穏やかだけれど、ねちっこくてさり気に鬼畜腹黒だからあまり近づかない方が良さそうだと聞いたと兄様が…は!」


 そこでレイトがなるほどと呟き笑うのを見て、メルがびくっと震えた。

 でもとりあえず僕はここでレイトがどういう人物か分かったので、カイルもその関係者なのかと思う。

 謎が多いカイルの正体が少し分かった気がした。


 でもメルの特殊能力チートって何だろうと、特殊能力チート持ちの僕が思ってメルを見ていると、


「タクミ、何か言いたそうだな?」

「うん、メルの特殊能力チートが気になって」

「……あまり外には漏れだすと困るし、そもそも僕はこの能力が何なのかよく分からないんだ。“運”がいいのはそうなんだけれど」

「そうなんだ、だったらステータスを僕の“鑑定スキル”で見てみる? 何だかこの世界の人の中では珍しく情報が多いらしいし」

「……確かにタクミのそれを使えば、もしかして僕の能力が分かる?」


 僕の提案にメルはしばらく沈黙し、そして、


「頼んでいいかな、タクミ。後、もしも僕の能力を見ても秘密にしておいて欲しい、カイルとレイトもお願いできるかな」


 メルのその言葉にカイルとレイトが頷き、僕は“ステータス・オープン”を使う。

 そして現れた内容は、


「未来予知と時空間操作の合成能力、“確率操作(弱)”?」


 そう書かれていたのだった。

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