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第16話(“可愛い”と洗脳するか)

 それから再び荷馬車の中に。

 レイトも白鳥に変化して、今は猫耳少年に戻ったメルに抱きしめられている。

 そんな荷馬車に揺られながら僕はすぐ隣に座っているカイルに、


「さっきはありがとう」

「なにがだ?」

「ほら、竜の人にスカウトが来た時に断ってくれたから。異世界人だからここに残れないしどう断ろうかと考えていたから」


 そう僕がカイルに言うとカイルはじっと僕の顔を見て、


「……渡したくないって思ったから」

「え?」

「いや、俺が責任もって送らないといけないような気がしたから。タクミは人が良さそうだから悪い人に騙されるといけないし」

「……同い年なのに子供扱いするな」


 むっとしてそう言い返すと何故か僕は肩を抱かれて、カイルに耳元で囁かれる。


「こうやってタクミは俺に素直についてきているが、もし俺が悪い人間だったらどうすると思う?」

「え? えっと……」

「このまま次の町についたら宿に泊まり、俺は安心して寝ているタクミに襲い掛かって……」

「ど、どうなるのでしょうか」

「どうなると思う?」


 そう言ってカイルが僕の腰に手をまわして、ギュっとカイルに体を寄せられる。

 すぐそばにカイルがいて、カイルの匂いがする。

 狼っぽいというよりはもっとく男らしいというかこう……恐る恐るカイルを見上げると、蒼天のような青い瞳が僕を熱っぽく見つめている気がする。


 この世界は男同士が当たり前であるらしい。

 そして僕は男だ。

 だから僕はカイルに、女の子のように襲われてしまうのだろうか?


 そう思っていた僕はそこで、はっと気づいた。


「いや、そもそも僕は美少年というわけではなく平凡なので、襲われる可能性が全くない!」

「……本気で言っているのか?」

「うん、だってどう考えてもそこにいる猫耳なメルの方が、“女の子のように可愛い”し! メルだったらそうなってもおかしくない!」


 僕はメルを指さして熱弁した。

 可愛いと言われたのが気に入らなかったのか、メルは必死に僕に何か攻撃を加えようとしていたのだけれど、白鳥になったレイトが羽をバサバサさせて抑えている。

 だがこれらは事実なのだ。


 だから僕が性的な意味で襲われる事などは、絶対にない!

 そう自信をもって告げるとカイルはまじまじと僕を見てから、ぽつりと一言。


「仕方がない、“可愛い”と洗脳するか」

「せ、洗脳?」

「繰り返し何度も言えば、そのうち自覚するだろう。ここまで無防備なのは危険だからな。仕方がない」

「そ、そこまで僕は無防備じゃないよ! ……うにゃ」


 そこで僕はカイルに可愛い可愛い言われながら頭をなぜられてしまう。

 こうカイルにされてしまうとすごく心地よくて、顔がふにゃっとなってしまう。

 カイルに可愛いと言われるのも何だか幸せな気がするし。

 

 そう僕は思って、何かを忘れている気がしたが、気持ちがよかったのでまあいいかと思った。

 そんな僕を見てメルが小さく、チョロすぎと呟いたことなど僕は全然気づかずにいて。

 そうこうしているうちに、乗せてもらった荷馬車は目的の町にたどり着いたのだった。

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