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第15話(そっくりで見分けがつかないね)

 話を変えたメルによって狐耳の人は、事情を説明してくれた。

 なんでも衝突した時に荷物がぶつかり、中身が零れ落ちて混ざってしまったらしい。

 素人では見分けのつかない、乾燥した葉っぱの入った瓶で、瓶自体もよくある形状だそうだ。


 その狐耳さん(仮)の方が“トルトル草”といって特別な病気に効く草であり、その狐耳さん(仮)の働いているお家のご子息に必要なのだそうだ。

 しかもたまたま薬を切らしてしまい、急遽必要になったらしい。

 ちなみに三人の男の兄弟がいて、次男が現在家出中で、三男が病弱で薬がいるらしい。


 といった話をしていると、猫のメルがやけにそわそわしているのはいいとして。

 一方の、竜の人(仮)が持っていたのは、竜族の嗜好品で“焚く”ととてもいい香りのする葉っぱらしい。

 どちらもとても高級なもので、少量ずつ取り出して燃やすわけにもいかない、そもそも高級品なのでこれまた似たような封がされており混ざり物でない証明がされているという……。


 なので実際に見せてもらった。


「どっちも本当にそっくりで見分けがつかないね」


 僕の言葉にカイルも瓶を見て、それをレイトと猫メルも同じような感想らしく黙ってしまう。

 しばらく黙ってからカイルが、


「人命がかかっている、か。……とりあえずここにあるもの全部、“鑑定スキル”のあるタクミに任せてみてはどうだ?」


 そう提案されて、あ、ここでも僕の出番だと今更ながら僕は気づいたのだった。








 先ほどのように鑑定を行うと、綺麗に全ての瓶の中身が判明した。

 そしてそれらが、どれほど高級品なのかも書かれていて、僕は凍り付いたのはいいとして。


「これで何とかなります。ありがとうございます」

「いえいえ」


 そう狐耳さん(仮)がお礼を言って、僕がお役に立てて光栄ですと返すと、お礼として飴玉の瓶をくれた。

 色とりどりの飴が入った小さな瓶にリボンがかけられた可愛い品で、女の子が喜びそうな代物だ。

 でも飴玉は好きなので僕が喜んでいると、狐耳さん(仮)も微笑ましそうに僕を見ていた。


 年齢が誤解されている気がした。

 それから狐耳さん(仮)が、じーっと何か思う所があるらしく猫メルを見てから、


「坊ちゃんもほどほどに帰ってきてください」

「……別猫ですにゃ」

「皆さん心配していますよ?」

「……別猫ですにゃぁ」


 もう一度別猫といった時のメルの声は何処かか細いものだった。

 それから狐耳さん(仮)の荷馬車が去っていき、後には竜族さん(仮)がやって来た。


「助かりました。高級品のために、どうしようかと……」

「いえ、たまたま僕の力が役に立っただけです。それに僕達は次の町に行きたかったので……」

「ああ、確かに邪魔ですね。あ、こちらはお礼です」


 そう言って竜の人(仮)はクッキーの入った瓶をくれた。

 こちらも細い二色のリボンが飾られた可愛らしいものだ。

 クッキーも大好きだと僕が喜んでまたも、微笑ましそうに見られてしまう。


 僕、そんなに子供っぽいのだろうかと思っているとそこで竜の人(仮)が、


「それで、先ほどの“鑑定スキル”は素晴らしいものでした。ぜひ我が国にいらっしゃいませんか?」

「え?」

「高待遇でお迎えしますが……」

「生憎だが、タクミは俺と一緒に行くから、そちらに行くつもりはない。そうだろう、タクミ」


 そこで断ろうと思っていた僕が何かを言う前に、カイルがそう告げる。

 だから僕はカイルのその言葉に頷く。

 と、その竜の人(仮)は目を瞬かせてカイルを見て、すぐにおやっ? と小さく声を出してから微笑み、


「そうですか、それは残念です。……また機会があればよろしくお願いします」


 竜の人(仮)は僕に微笑み、特にごねることなく去っていったのだった。

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