第12話(“鑑定スキル”で石を分析!)
偶然遭遇したそのおじさんの手には、赤茶色の石がある。
どうやらその石が問題であるらしい。
そこで荷馬車のおじさんは、
「“鑑定スキル”があるというのは本当か?」
「は、はい、えっと、早速使ってみましょうか」
「……私が持ったままで構わないかな? 申し訳ないが君が善人かどうかは分からないから渡せない。もっとも、“鑑定スキル”自身が嘘をつくことはないから、そちらは信用できるが」
「分かりました。それでいいです。……そちらの方もそれで構わないですか?」
僕の問いかけに言い争っていたもう一人のおじさんは、胡散臭げに僕を見ている。
だが本当に鑑定出来るのなら、どちらが正しいのか分かるから、黙って頷いた。
そして僕はその、赤茶の石に触れて、
「“鑑定スキル”発動、“分析”」
上手くいきますように、そう願いながら触れると同時にすぐそばに低重音がしてピンク色の光の四角が現れる。
そこには素材のデータが書かれていて、
「こ、これでどうでしょう……あの」
そこで僕は茫然と、僕の作り出した画面を見ているおじさん達に気付く。
僕は何を間違えてしまったのだろうかと思っていると、カイルが近づいてきて、
「凄いな、タクミは」
「え、え?」
「ここまで詳しい内容が出る“鑑定スキル”は今まで俺も見たことが無い」
そう言われてしまうと僕は、ちょっとだけ嬉しくなってしまう。
やはり褒められるのは嬉しい。
そうしているうちにメルとレイトも僕のスキルを見に来て、驚いたような顔をしていた。
またおじさん達もこのデータで安心できたようだった。
しかもカイルが、
「それは“モレラ石”だろう? 確か産出したそのままでは茶色く濁っているから普段は水につけておくと、色が綺麗な赤色になるものだったはずだ。市場に流通しているのはほとんどが処理されたもので、現物を見たことが無い人は多いとそういえば聞いたことがある」
といった説明をカイルが付け加えていた。
鑑定証もついていたのに信じてくれなかったがこれで納得してもらえるか、と荷馬車のおじさんが聞いて、相手方もこれならば仕方がないという話になったらしい。
その間僕は自分の鑑定した、その石についての情報を見ていた。
純度や、どういった魔力の属性の偏りがあるのか、主な産出場所とこの採れた場所はどこなのかといった石自体のデータとともに、主な用途が幾つも載っている。
この石はどうやら粉にして薬として使うらしい。
僕達の世界の薬の材料で、他にも薬草などを組み合わせて風邪薬となるようだった。
しかもこの石、結構お値段が張るらしい。
といった情報を僕は得ていると、カイルが僕の読んでいた文章を見て、
「タクミのこのスキルは面白いな。ここまで出るのか」
「……普通は出ないのかな?」
「ああ、魔力量属性純度などが幾つか出るだけでここまでは……。“鑑定スキル”のレベルによって違うが、ここまで行くと最高位じゃないのか?」
「本当! これなら、カイルの役に立てるかな?」
すごい鑑定スキルならカイルの役に立てるかなと思って僕は聞いてみたのだが、そこでカイルは少し考えてから、
「……でも鑑定する機会はあまりないと思う。俺はそういったものを採掘したりしないから」
「そうなんだ……」
それを聞いて気落ちしてしまう僕。
そこでどうにか受け渡し出来たらしい先ほどの荷馬車のおじさんがやってきて、
「いやあ、助かったよ」
「いえ、お役に立てればそれで」
「本当になんとお礼を言ったらいいか。というか鑑定料はどうしようか。高いと私も払えないが……そうだ、ここにいるというのは乗合馬車を目指しているのかな?」
それに頷くとどこの町に向かうのかを聞かれて、カイルが“レモナの町”だと答えると、
「鑑定料代わりに、荷台でよければそちらに用があるから全員乗せていくよ」
そう、荷馬車のおじさんが言ったのだった。
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