第11話(お魚大好き!)
それからこの世界の食事を頂く事に。
食事自体は意外にも僕から見た感覚では普通だった。
見た目は。
とりあえずは突然踊りだしたり、見た目がアウト! な形では多分ないと思う。
そこで僕は、魚のフライにソースがかけられたものと野菜をパンに挟んだものを手に取る。
ふかふかのパン。
石のように堅いパンしかないといったことも無くて良かったと僕は思いながら一口。
「! 美味しい! 白身魚がふんわりしてて噛むとぎゅっと旨みが!」
僕がそう言うとメルが反応した。
「分かる! ここの川魚のフライは臭みも無くて凄く美味しいんだ! お魚好きの僕が言うんだから間違いない! そうだろう、レイト!」
「そうですね、私も魚の方が好きですね」
そう答える二人を見て僕は、猫に白鳥となると、やはりお魚が好きなのかと思う。
でもそうなってくると狼なカイルは、と思ったのでカイルをじっと見つめると、
「……俺は魚は嫌いだ。肉がいい」
「そうなんだ。美味しいのに、もったいないね」
個人の嗜好だから仕方がないとはいえ、こんな美味しいお魚が食べられないなんてなと思って僕がパンにかぶりついたり、魚のフライで作られたマリネもとても美味しい。
対するカイルは先ほどからハンバーガーのようなものを食べていたが、なぜか僕の方が気になるらしい。
「? カイルもお魚が気になるの?」
「……タクミが食べさせてくれるなら少しなら味見をしてやってもいい」
微妙に我儘なカイルの物言いに、僕は笑ってしまう。
それにカイルはむっとしていたようだけれど、マリネの魚を一切れフォークで取り、カイルの口に運ぶ。
僕の差し出したフォークにカイルが咥えつく。
咀嚼している様子を見る限りではどちらとも判別が出来ない。と、
「……美味しい」
「! でしょう! うん、僕もここのお魚美味しいと思うんだ」
「……でも自分から食べる気がしない。タクミが食べさせてくれるなら食べる」
「え? うーん、分かったよ!」
こんな形でお礼が出来るなんて思わなかったと思って僕は、カイルに食べさせたり。
食事の最中無言でメルとレイトが僕達の方を見ていたけれど、その意味に僕はその時全く気付いていなかったのだった。
お腹が一杯になった僕達は機嫌よく次の町に向かう事にした。
乗合馬車の停留所があるのでそこで馬車に乗って、今の時間では夕方前に次の町につくらしい。
そんな理由から僕達はレイトとメルも一緒に来ることになったのだけれど、
「あれ? メルはここの町の出身じゃないんだ」
「当たり前だ。ここは犬耳族がほとんどの地域じゃないか」
「犬耳族? そんな風に別れているんだ」
「やはり異世界人は、この世界の事を知らないようだな。いつでも僕に聞いていいぞ!」
メルが鼻息荒く僕に言ってくる。
でも知らない僕に教えてくれるというのだから、
「ありがとう、分からなかったら聞くね」
「うむ」
そういった話をしつつ、とりあえず僕の異世界トリップは安全な形で進んでいるなと思っているとそこで、
「どうしてだ! これは本物だ!」
「でも明らかにこの色は……」
「“鑑定”してもらえば分かる!」
「“鑑定スキル”持ちが今はいないんですよ」
といった言い争いをしていて、先ほど乗せてくれて僕に酔い止めをくれたらしい荷馬車のおじさんが、誰かと言い争っている。
話からすると、その品物が偽物? か何かだと思われたらしく、しかも“鑑定スキル”持ちが今は席をはずしているらしい。
先ほどの酔い止めの草もあって、僕はカイルに、
「僕の力役に立てられるかな? さっき薬草ももらったし」
「そうだな……タクミがしたいようにすればいい。少しくらいなら俺も手伝う」
「ありがとう、カイル! メルとレイトもいいかな?」
それにメルとレイトも頷いて、レイトが馬車に乗り遅れない範囲ならと言う。
だから僕はすぐに終わらせますと答えて、先ほどのおじさん達の所に向かい、
「僕、“鑑定スキル”持っています!」
「?」
「おや、君はさっきの……」
僕が話しかけると、知らないおじさんは怪訝な顔をして、荷馬車のおじさんはさっきの子かというように呟いたのだった。
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