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第9話(異世界人というのは本当か)

 偽物の猫耳と言われてしまった僕はびくっと震えてしまう。

 やはり猫耳カチューシャじゃ駄目だったのだろうかと僕が思っていると、レイトが僕をじっと見てくる。

 まるで様子を観察するように。


 でも僕はとりあえず誤魔化さないとと思って、


「ぼ、僕の耳は本物です。こういうアクセサリーがありまして……」

「今はやりの物で、耳の部分が飾りに見えるというアクセサリーですね」


 そんなものがあるのかと僕が思っていると、そこでカイルが睨み付けるようにレイトを見て、


「レイト、初めからタクミが……知っていたのか?」

「いえ。ただ……」

「ただ?」

「異世界人召喚の関係で特に魔力の強い、などの理由からカイルの毛を一部媒体にして使ったのですよ」

「……それがどうした」

「そのせいで異世界の人が、召喚の魔法を行った場所に現れなくて。時間差があるとはいえ、カイルの所に現れたようなんですよね」


 などと衝撃の事実を語るレイト。

 この人、どうやら僕を召喚した人かもしれない、そう思った僕は、


「あの、僕、突然この世界に連れてこられたのは貴方方のせいなのですか?」

「自分が異世界人だと認めるのですか?」

「はい。そしてカイルが、その、召喚した人たちの所に連れて行ってくれるって。そこに行けば僕、元の世界に戻れるんですよね?」

「確かに戻す方法もありますが……そもそもの目的が、とある非常に我儘な王子様の影響でこんな事態になりましたので、そうですね……」


 そこでレイトが僕とカイルを交互に何度も見てから、


「実は、うちの王子様がそろそろいい年なので恋人を、という話になったのですが連続でお見合いを破談に追い込みまして」

「そうなのですか? 合う相手がいなかったのでは?」

「そうなのです。なので、異世界からうちのとても我儘な王子様のために恋人を召喚しようという話になったのです。本当は別の理由もあったりするのですがそれも目的の一つでして。それが貴方だ」


 どうやら主な目的は、その王子様が恋人がいないのでその代わりに僕が召喚されたらしい。

 なんてことだと僕が思いつつ、


「でも僕とその王子様が合うかどうかわからないじゃないですか」

「そうですか? 意外に気に入るような気もするのですがね」


 ニマニマ笑いながら僕に言うレイトに僕は、冗談じゃないと思う。

 だって僕、女の子が大好きなのだ。

 男なんて絶対お断りなのだ。なので、


「僕、女の子が好きなのです」

「そういえば異世界は女性が多かったのでしたか。ふむ……前途多難ですね」

「なので別の方というわけにはいかないのですか?」

「その選択肢もありますね。そうですね……では我が城に一緒に来て頂いて、その王子様に気に入られるかどうかで考えましょうか」


 そう言ってきたレイトに僕はなるほどと思う。

 つまりその王子様に僕は全力で嫌われればいいのだ。

 やはり虫を捕まえてきて放り投げるとかそんな感じでいいのだろうか?


「たどり着くまでに時間がある。その時までに僕は、ありとあらゆる手段を考えてその王子様に嫌われないと」

「……そこまでやる必要はないんじゃないか?」


 何故かカイルがそう言ってきたけれど僕は、


「まだカイルがその王子様だったならそこまでする必要はないって思うけれど、見知らぬ勝手に呼び出される羽目になった原因の王子なんて普通は嫌いだよ」

「……そうか、俺だったらか」

「そうそう」


 僕はそうカイルに言う。

 王子様がこの親切なカイルだったらそこまで酷いこともできないというか少しくら……ではなく、酷いことはできない。

 それに何処となくカイルは安堵しているようだった。と、


「異世界人というのは本当か」


 いつの間にか目を覚まし人型に戻ったメルが僕にそう問いかけてきたのだった。


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