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マラソン

 今年(二〇一七年)の一月の活動報告にも書いている通り、私は箱根駅伝が好きだ。

 関西に住んでいて、関西の大学出身だけど、毎年ほぼ欠かさずにテレビで観戦している。


 特に箱根駅伝の五区(小田原中継所→箱根芦ノ湖)が一番好きで、一月二日は基本的にテレビ観戦するため他の予定を入れない。


 そんな私がフルマラソンに挑むきっかけになったのは、元祖山の神と言われた順大OBの今井選手の走りを見てからだ。

 二〇〇七年の箱根駅伝。トップから四分遅れの五位でタスキを受け取った今井選手は驚異的な速さで箱根の山を駆け抜け、ついにトップをとらえフィニッシュ!

「山の神! ここに降臨! その名は今井!!」

 というテレビの実況と共に今でも私の脳裏に刻まれている。


「よし! 私も走る! どうせならフルマラソンに出る!」


 結局、毎年箱根駅伝を見るたびに「今年こそはフルマラソンに出る!」と意気込んでいたのだが、一ヶ月もすると続かなくなり、そんなことが毎年のように続いていた。



 そして一昨年、二〇一五年。一月。

 

「どうせまたすぐに挫折するんやろ……」

 妻のあざ笑うような声を受けながら、私は考えていた。


 確かにそうだ……今までのような勢いに任せた自己流ではうまくいく可能性は少ない。

 

 マラソン好きで有名なある女性芸能人がこんなことをテレビで言っていた。

「フルマラソンを完走すると、世界が違って見える」

 どうせなら何か一つきちんとやり遂げて自分に自信を付けてみたい。


 さて、どうしたものか……


 こんな時、やっぱり頼りになるのはグーグル先生だ。

 あとは学生時代にトライアスロンに打ち込んでいた猛者の友人がいたのでそいつを捕まえて、恥をしのんでアドバイスを貰ったりした。


 いきなり走ろうとするから、つらくなって続かなくなるらしい。

 まずはウォーキングから、無理しない程度に、身体を慣らしていく。

 身体が痛いと感じたら、トレーニングしすぎなので日中に疲れを残さないように週三回程度続けましょう。

 ちょうどその時子供と一緒に夜九時に寝て朝四時に起きるという超朝方生活をしていたため、朝早く起きてウォーキングをすることにした。

 平日は二・三キロ程度、休日はもう少し足を伸ばして五キロくらい。


 二月に入って、少し体力や下半身の筋肉も付いてきたので同じコースを五分ごとに歩いたり走ったりを繰り返すようにした。まだ全力疾走はしないし、通して走ることもしない。


 三月になると通して五キロくらいは走れるようになってきた。週に三回程度、平日三キロくらい、休日は五キロを繰り返す。


 そして四月は十キロのマラソン大会に挑んだ。

 やっぱり実際のレースの緊張感とかもあるし、とくに序盤は人が密集してそれに気を使いながら走らなければならないので。慣れておくためにも、いきなりフルマラソンの大会にエントリーするよりは、十キロ、ハーフマラソン、そしてフルマラソンと慣らしていくのが有効だと思う。

 この大会、十キロをちょうど一時間のタイムで完走。


 目標は十一月に近くで行われるフルマラソンの大会。

 本当は六月にハーフマラソンに挑戦したかったんだが、右膝を痛めてしまって出場を断念。

 私は足を痛める時右膝からくるため、この痛みに終始悩まされることになる。


 多少のアクシデントがあったものの、七月・八月・九月となんとか練習メニューをこなす。

 このことは平日五キロ、休みは十キロ近くは走っていたな。

 まずは続けることが大事だ。

 人間はある事柄を三週間以上続けると、体に身に付いて習慣になるらしい。

 確かに走り込んでいた頃は、二・三日走らないとなんか逆に体が気持ち悪いようなそんな感じになっていたな。


 十月、ハーフマラソンの大会に出場。

 約二十一キロを二時間十分で完走。しかも最後は余力を残した。

 これは、本番も行けるんじゃないか!?


 しかし、どうもこの大会でも右膝を痛めてしまったようで、それからはだましだまし練習する日々が続く。友人は出来れば三〇キロの世界を一度体験しておいた方がいいと言ってたが、結局体験できないまま(練習でも二〇キロ走ったのが最高)本番を迎えることになった。



 十キロ過ぎ。

 足取りは軽い。まだまだ、どこまでも行けそうな気がする。

 普段の練習通りの力を発揮すれば大丈夫だ。

 

 二十五キロを過ぎる

 私の場合、まず心が折れ始めた。

 一キロ一キロが冥土の旅への一里塚のように長い。

 まだ十五キロ以上もあるやん……


 三十キロ過ぎ

 両足が悲鳴を上げ始める。

 歩くことも増えてくる。

 あのカーブまでは頑張って走ろう、そのあと少しだけ歩こう。

 今歩いているけど、あそこの交差点まで行ったら、走り出さなきゃ。


 そして三十五キロ

 もうダメ……

 なんでマラソンなんか始めたんだろう!

 もう二度としない!

 そんな時に、沿道の人が掲げている横断幕が目に入った!


「それがお前の限界か!?」


 厳しい言葉! でも走っていた私はハッとなった。

 違う、限界なんかじゃない!

 フルマラソンを完走して、自分に自信をつける!

 違う世界を眺めるんだ!

 その思いで約一年間、練習に励んできたんだ!

 ここで折れてどうする!


 自分の残っている、全ての力を振り絞る!

 三十八キロ地点に設けられた最後の関門を、締め切り三分前に通過した。


 結果、五時間四十分のタイムでフィニッシュ!!

 アマチュアランナーとしてはかなり遅い部類に入る。

 それでもやり遂げた充実感でいっぱいだった。


 違った世界……見えたんだろうか……

 よくわからない。

 でも、コツコツとやり続けていけば何かを達成することができる。

 そんなことをマラソンから学んだ気がする。


 今年の二月に二十万字以上の長編小説を無事に完結させることができたのだが(『歌姫と銀行員 第二幕』だよ! まだの人、是非読んでみてね)、それもマラソンに打ち込んだ時の経験が活きていると思う。


 私は実は学生時代体育の成績は基本三で(もちろん五段階評価)、特に球技がダメだった。

 こんな私でもフルマラソンを完走することができた、とちょっと自信になった。

 もし、読んでる人でマラソンに興味がある人はぜひチャレンジして欲しい。

 体育三で特にそれまで運動習慣のなかった私でも、完走することができた。

 あなたにも、きっとできるはずだ!


 今でも私は、次の目標に向かって走っている。

 と言いたいところだが、実は週に一回ジョギングをしたりしなかったりとそんなレベルだ。

 体も以前に比べてたるんできた気がする。とてもフルマラソンを走るレベルではない。


 どうも一度やり遂げたことで、満足してしまったというか飽きたというかそんな感じらしい。

 人間は悪い習慣が続くと、今度はそっちに流される生き物のようだ(笑)


 昨今はマラソンブームらしく、町おこしも兼ねて色々な場所で大会が開催されている。

 沿道で走っている人を見かけたら、ぜひ、応援してあげてください。

 沿道からの声援は、走っている身にとっては、本当に力になるんですよ!


追記) 今年(二〇一七年)の一月の活動報告で、「今年はフルマラソンに挑戦する!」と意気込んでいたのですが、思いっきり挫折しています。

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