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四国遍路その4

前回の遍路旅から約三年。


初めての転勤や一緒に高知に行った彼女との別れを経験した私は、日々忙しい毎日を送っていた。


そんな中、八月に一週間の長期休暇を取得することになった。

*銀行員の長期休暇について詳しくは拙作 『歌姫と銀行員 第二幕 ~二人の恋の協奏曲~』の第二十七話「七泊八日マネージャー体験ツアー」を参照いただきたい。


とはいったものの予定がない。


一緒にバカンスに行くような彼女もいない。

同期は彼女と旅行に行くとか、休みが合わないとかで捕まらない。


さて……何をしようか!?


そうだ! へんろ、いこう! (J◯東海のCM風に)


ちょうどその年の春に中古車を買っていた私は、車で一路四国へ渡ることにした。


これも実はハードディスクに眠っていた当時の文章を元に構成しているので、読みづらい点があることをお許しいただきたい。



■一日目


で、今治市に入り54番札所延命寺へ。ほんま、やってきたよ四国!約3年ぶりだよ。この線香のにおい、聞こえてくる般若心経、鈴の音…ああ、何よりも生きているということを実感できる。


続いて55番南光坊。暑いし疲れたしまだ時間あるけど今日はこの辺でやめとこうかな…と思っていると納経所のおじいさんに話しかけられ、30分くらいしゃべっていた。この地元の人との交流がいいんですよね。今治西高は野球だけでなく、勉強もできることを初めて知りました。それから昨今の教育問題についてや福田改造内閣批判をしたあと、満足げに私はお寺をあとにしたのでした。


今治は実は今日花火大会だったみたいで、ホテルから花火がばっちり見えてとてもラッキーでした。最初からこんな順調な滑り出しでよいのでしょうか。




■二日目


今日ははじめに今治城を訪れた。

なんか曇ってるし、足は痛いし(サンダルで動き回っているためか)、ブルーになってきてやる気出なくなってきました。これが先輩達が言ってた遍路スランプというやつか…。なぜか伊予の国でかかることが多いらしい。始まったばっかりでやる気まんまんの阿波国、札所間の距離が長く自然が厳しい修行の道場土佐の国を過ぎて、温暖な伊予国に入ると、なんかMなのに優しくされてるみたいな(そう思うのはわたしだけ!?)、だらけてきたというか、そんな感覚に襲われました。


やべぇ、次行くのだりぃな…。

こういう時は人と話すのに限ります。城の受付のお姉さんはべっぴんさんだったが、こちらがニコッと笑ってもガン無視…。なんか私の笑みに不穏な空気でも察したのでしょうか…(涙


櫓の入口のおじいさんがいかにも「話好きです」みたいな顔をしており、「どちらから来たんですか?」と話しかけてきたので、すかさずローカルトークでおじいさんのハートをがっちりをつかみ、お遍路について少々語っていると、おじいさんは櫓に展示されている宝物について、熱く説明してくれました。嵐山と天の橋立(偶然にも京都が描かれている!)金箔の硯箱と文机がセットで2800万円相当らしい。

たまには女性のハートもつかみたいです←遍路なのに全然煩悩がとれてません。


これらのコレクションは今治で市会議員を何度も務めた人(名前は忘れた)が全部寄付したそうで、櫓の再建費用約1億5千万も彼が出したらしい。「すげえなあ…」と思っていると「おかげでその人は今治に10数名しかいない、名誉市民になれたらしいですよ」と説明してくれた。人間、地位とお金を得ると最終的には勲章や名声が欲しくなるのだろうかというトークで盛り上がった。


とまぁ、すっかり回復した私は、58番仙遊寺では停める駐車場を間違え山道を1キロ登るという暴走もおかしたが、おおむね順調に予定をこなした。仙遊寺では併設されている道場から子供達の剣道の掛け声が聞こえてきて懐かしい思いがした。特に連続正面打ちとか。


そして、今日最大の難所、四国最高峰石鎚山中腹にある60番横峰寺へ。車で峠道を行くこと1時間。確実に運転うまくなった気がする。途中で見た湖はとてもきれいであった。晴れてきた為、高い所にある寺院(21番太龍寺や27番神峰寺で出会ったような)霧がかかる幻想的な雰囲気には出会えなかったが、下界の景色を眺めるのはやはり気持ちがよかった。


61番香園寺はコンクリートビルのような本堂だったのでかなり面喰らった。二階に本尊が祀られており、椅子もずらっとならんでいてお寺というよりはセレモニーホールのようだった。これも法灯を守る意味ではいたしかたないのだろうか。


63番吉祥寺で毘沙門天が彫られた木製のいい感じのキーホルダーを購入。早速車のキーにつけた。いままでがんばっていたくまのプーさんはお役御免になってしまった。


今日は64番で打ち止め。明日は65番三角寺から。また山道です。




■三日目


65番三角寺は山の中にある為、七時半にホテルを出たのだが、道に迷ったこともあり、着いたのは9時半を回っていた。


またさらに山道を進み四国霊場最高峰66番雲辺寺には11時半ごろの到着。ここはきれいなお堂がたくさん立ち並んでおり、

信仰の篤さ(お寺の経営のうまさ?)を感じた。雲辺寺ロープウェイが運休だった為、境内にはほとんど人がおらず、貸切状態であった。途中舗装がとれかかっているところが何箇所かあって、パリ=ダカールラリーでもやってるのだろうかという気分を味あわせてもらった。ワゴンRをだいぶ痛めつけてしまった。


68番神恵院と69番観音寺は隣接しておりセットになっていてお得。納経も一か所で2つ押してもらい「ほな、納経代まけてや」と言おうと思ったら貼紙に「納経代は2か所分お願いします」とすでに書いてあった。


そして70番本山寺。本堂は鎌倉時代のもので国宝指定。仁王門も重文指定。仁王門は一見平屋建ての簡素な門であるが、逆にこれをシンプルイズベストというのだろうか。


そして本山寺出発時に車をバックさせていたら、後方不注意でコンクリート製のごみ置き場に当ててしまった。後ろにキズが入ったのとウインカーカバーにヒビが入ってしまった。走行に支障はないが。ショック。これも「あまり急がず、ゆっくり気をつけて行きなさい」という大師さんからのメッセージと好意的に解釈。確かに少し油断していたのと、先を急ぎすぎたのかもしれない。


気を取り直して71番弥谷寺へ。ここは本堂が階段を200段以上登った所にあり讃岐の霊場は平地ばかりで楽ではないのかと

いう期待を見事に裏切ってくれた。大師堂も岩にくっついておりカッコよかった。カメラを車の中に忘れた為ケータイでしか撮れなかったのが残念。中には大師が子供のころに勉強したと言われる場所(岩の机のようなもの)があり、神秘的な雰囲気を漂わせていた。


75番善通寺。ここは大師生誕の地であり、真言宗善通寺派の総本山である為、とても賑わっていた。本堂・大師堂共におっきい。

ここで74番の納経を忘れていたことに気づく。お経はちゃんと読んだのだが、大師手彫りの毘沙門天に気を取られてしまってすっかり忘れていた。


今日は思い通りにいかないことが多かったが、これも人生のうち(ですよね)。と気を取り直して明日は74番の納経印をいただいてから、76番から一気に87番長尾寺まで行けたらいいなぁと思う。




ごめんなさい、長くなったので続きます。次回で遍路編はラストの予定です。

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