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先生が退屈な人でよかった  作者: じんたね
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4・1 幻想的桃源郷

 翌日の放課後。


 私は体育館ではなく吹奏楽部の部室に向かっていた。もう1つ埋めなければいけない重要なピースを確認するために。男子バレー部の練習が終わるまで待てない。


 もし月島の援助交際の話が、私を呼び出すためのものだとすれば、それは私だけに伝わることで、内密に調査するよう仕向けなければならない。他の人間が屋上に来ては困るからだ。この条件をクリアする簡単な方法は、月島と私を橋渡しする、共犯者を用意すること。つまり、私だけにこっそり援助交際の噂があるのだと伝えればいい。


 門田杏。


 彼女しか考えられない。一体どういうつもりで協力したのか。


 ぶおぉん、ぷふぁん。


 校舎一階の隅に位置する吹奏楽部の部室。近づくにつれて、ホルンやトランペットといった楽器の練習音が大きくなってきた。数人の生徒が練習している風景が見えてくる。


「練習中にすまない。門田はいるか?」


 私は、廊下でホルンを吹いている部員の背後から、その肩に触れた。


「え、国立先生?」



 彼女はホルンから口を離し、勢いよく振り向く。


「皆の衆ぅー! 国立先生が来たぞぉー!」とホルンよりも大きな声で叫んだ。まるで敵襲を告げる見張り番だ。すると四方八方から部員が顔を出して、私を取り囲んで質問攻めにしてくる。あっという間に陥落してしまった。


「みんな待ってくれ。今日は門田に用事があるん――」

「国立せんせぇ? 私のことを呼びましたぁ?」


 包囲網の1人が、両手を挙げてアピールしてきた。門田じゃないか。こんなところに紛れ込んでいたとは。


「何の用なの? もしかして私と結婚してくれるの?」

「事と次第によっては、考えてやらんでもない」


 すぐさま周囲の部員たちが黄色い歓声をあげる。

 どうしてこうなった、門田は何をしたのか、こんな煩い奴でいいのか、等々。門田は門田で「式には呼んであげるから」などとしたり顔だ。


「少し、時間あるか?」


 部員らの喧噪けんそうに呑まれながらも、要件を切り出す。

 ぱっと門田の笑顔がまぶしくなる。


「いいですよぉ」


 門田は勝ち誇ったように鼻をこすりながら、部室を出る私についてきた。

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