EPⅢ「説明把握と一時帰還の中で 後編」
「…ハッ!?…そうか俺は…」
無事に元の世界に帰還した俺は自室のベッドで目覚めた。
恐らく茉莉の奴が此処まで俺を見つけて運んでくれたのだろう。
「…もうちょっとだけでも寝るか…」
俺は思い返す。
あの接続世界で俺は人族の新型装機、雫月に搭乗し迫り来た敵を撃破した。
しかも自分が特定の種族にしか使えない筈の『装』と呼ばれる力の全てを使う事が可能な存在『救世主』であるという事。
色々あって少々疲れがまだ取れていない事もあり俺はしばし眠りこけようとした…だが…。
「弐鬼ー!」
「おわー!?」
何故か茉莉の奴が俺が目覚めたのを察知したのか部屋に飛び込んできたのだ。
お前は何だ?アレか?予知夢能力でも所持しているんじゃないのか?
「もう!凄っく心配でたまらなかったんだからね!お父さんやお母さんも心配してたんだよ!」
「茉莉…」
俺は左程の時間経過は感じなかったが茉莉にとっては凄く長く感じられたんだろうな…そんな思いにふけっていると
「ん?」
「どうした茉莉?」
茉莉がなんか唖然とした顔で
「弐鬼が知らない女の子連れ込んでるー!」
バチイ!
「まるこめみそしるうー!?」
そう言うと同時に平手打ちされた。
ま、まさか…俺は恐る恐る上を見上げた。
『「zzz///」』
「違和感の正体はお前かああああ!クロン!」
「あわわ…弐鬼が…弐鬼が…」
「と、とりあえず茉莉お前も落ち着いてくれえー!」
『「何じゃ騒々しいのう…」』
クロンが目覚める。
「え?…この人浮いてる!?…」
「今更かよ!?まあ…なんていうかだな…」
「『ン?わっしか?わっしは弐鬼…マスターと一心同体のクロノアシアンじゃ!クロンと呼んでくれ』」
オイそこのAI人が説明しようとしたら割り込んできて誤解を生む様な事を言うんじゃない!
「一心同体って!?…」
アカン…茉莉の奴絶対アッチ方面で思考を巡らせているな!
「誤解だ!」
『「なんじゃもう妬キモチと照れ隠しかのう?」』
「お前も大概にしろ!」
『「きゃっぷ!?痛いじゃないか!」』
「もう一発イッておくかな…」
『「なんじゃ!?その冷ややかな目は!?」』
話をこんがらがせた超AIとの誤解を解くのに小一時間と財布が犠牲になりましたとさトホホ…。
後は茉莉に接続世界で俺がやるべき事を打ち明けた。
「別世界に弐鬼が選ばれし救世主…ですか…とても信じられませんけど…弐鬼が言うなら…分かりましたあんまり無茶な事はしないでね…」
「ああ分かっているさ」
茉莉の表情が必要以上に暗くなっていたがどうしたんだ?
俺はあまりその事は気に止めず接続世界へまた行く準備をした。
「…私も弐鬼の力になりたい!」
茉莉はクロンが開いたゲートを通っていくのであった。