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接続世界の装士使い  作者: カオスザイン
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EPⅡ「説明把握と一時帰還の中で 前編」

「此処は…」

あの戦闘後、俺はフレイア大尉に人族装機研究所其処に連れてこられた。

「まだ実感が湧かないんだよなあ…」

「『そう急く必要性は無いぞ?ま、この世界の全てを把握出来たお主なら大丈夫であろう』」

俺は実際まだ実感で出来ておらず内心モヤモヤしていた所にクロンが語りかけてくる。

ちなみに彼女は浮いている。

流石は最新鋭超AI美少女だ。

「そうは言ってもなあ…」

「少年!ついてくるんだ」

「おっと」

フレイア大尉が呼び出してきたので俺は慌ててついていく。

「長官殿!先程の通信でお伝えした件の少年をお連れしてきました」

「そうか、大尉はもう下がってもいい」

「いえ私も彼の話には多少ばかり興味がありますので同席の許可をさせて頂きたいと」

「ああいいだろう」

「許可して頂きありがとう御座います!…フン…」

「?」

フレイア大尉は長官と呼ばれた女性にそう言いながら敬礼するが俺の方を見るとそっぽを向いた。

あの俺の話聞きたいんだよな?

「ゴホン…それではよろしいですか?私はこの装機研究所の長官を一任しているナーサ・ヒモリという者だ」

「鍵桐 弐鬼です。自由に呼んでもらっても構いませんのでよろしくお願いしますヒモリ長官殿」

此方も自己紹介を交わしヒモリ長官と握手する。

「では弐鬼君、君は別の世界からこの接続世界に来たと言っていたようだが何処まで把握出来ているのかな?」

「大体の事はクロンを通じて把握出来てはいますよ」

俺が彼女を通じてこの接続世界を理解出来た事。

・この接続世界は多数の異種族が存在している事。

・此方の世界には俺達の世界でいう日本や米国やらの巨大国家が未だ確立出来おらず今現在までもあちこちで戦争が引き起こされており人種差別が酷い事。

・その戦闘に用いられるのがこの世界の人達が持つ力、「装」と呼ばれる特殊能力{装士使いと呼ばれ}及びそれを効率的に運用する為の起動兵器である装機{運用者を装演者と呼ぶ}の開発に尽力を尽くしている事だ。

「クロン?ああ雫月に搭載されている超AIクロノアシアンの事ですね…君の戦果は大尉やフレイア隊員に聞いているよ。

我々の中では誰も動かせなかった雫月の装演者{装士使い}となってしかも本来ならば我々には召喚出来ない筈の獣装までをも巧みに運用して急襲してきた獣人族のエースの一人を撃破したと一体どういう事なのか大変興味がある」

「はは…」

人族が持つ「輝装」、獣人族が持つ「獣装」、魔族が持つ「魔装」、妖が持つ「妖装」生まれながらにして持てる力が限られている。

一昔前に魔装のみにおいては人族が召喚出来るようになるようにする為のプロジェクト、「多重装計画」において度々実験が繰り返されていたようだが被験者の精神崩壊や暴走死という凄惨な結果を招いてしまい非人道的な観点からも条約により九割方この計画は凍結されたようだ。

ちなみにハーフの子もいるのでは?とお思いの人もいると思うから一応説明するが世界の状況が状況だ。

種族の垣根を超えてでの婚姻は少なからずはあるのだがどうやら血が最も濃い方しか召喚出来ないようなのだ。

そしてこの世界に俺といういくつもの装を扱える存在が現れた。

もし世界全土にこの事が広まれば各国領は俺の事を血まなこになって狙ってくるだろう。

「『その事ならばわっしが説明しよう!』」

「クロン!」

「クロノアシアンなのか?」

クロンが宙から現れ降り立つ。

「『そうじゃ!おっとそういえばヒモリ達にはこの姿で会うのは初めてじゃったな。あの時はまだ赤子も同然じゃったからのう…』」

「そうですね」

「『積もる話もあるが今は話させてもらうぞ』」

「ええ」

「頼む」

そしてクロンは語り出す。

多重装計画が凍結された直後比較的安全と提唱されていた自身を含む幾つかの装演者及び装機支援プログラムという超AIの開発に着手。

だがその恩恵を受けられる者が少な過ぎた。

「『わっし以外の超AIは装演者が死んだ為なのかプログラムを一時凍結されていて何処におるかは今はまだ探知出来ぬ…だけどそんなわっしの元に弐鬼、お主が現れてくれた…救世主という誰も成し得る事が出来なかった力を持ち得た者が!』」

「あの人の予言は本当だったのですね…」

「『その様じゃな…』」

「あの人の予言?」

俺はヒモリ長官の言葉に疑問を感じ質問する。

「ええ、クロノアシアン等超AI理論を提唱していた前任の長官、ロソン・ヒモリ…私の実の兄です。

今は彼女達の開発を終えた後行方が分からなくなってしまっていますが…」

「『信頼して本当に良かった…』」

「「…」」

彼女達の話を聞いて俺がこの接続世界で成すべき事を改めて痛感した。

「あの~…一旦家に帰らせてもらっても良いですか?」

俺は事を放りっ離しだった事をふと思い出し懇願する。

「貴様ッ!まだそんな事を…むがっ!?…」

「まあまあ、いきなりの事態もあった事だから」

フレイア大尉が何か誤解したのか凄い勢いで怒鳴ってくるがヒモリ長官に口を塞がれる。

「必ず戻って来い!」

「心配しなくともこっちにもちゃんと戻りますよ」

自分の世界の生活も大事だ。

クロンを通じて各国領各街の何処かに元の世界へと帰還出来る時空ゲートが開いているらしいので急ぎ足で向かった。

茉莉の奴きっと物凄く怒っているだろうなあ…。

少々憂鬱になりながら俺は一人時空ゲートに飲まれていった。



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