一匹狼野郎に花見に連れてかれた
【ユウ視点】
「なあ……花見、行かね?」
春休み。
いきなり私の家に乗り込んで来た野郎が、開口一番にそう言った。
「なんで花見。そして、なんでアンタと行かなきゃいけないのよ?」
────めんどくさい。
正直なところ花見なんて興味ないし、ましてや春休みに出掛けるというのがとてもめんどくさい。
「うるせぇ、さっさと行くぞ。」
そう言って野郎は……シズクは、私の腕を掴み無理矢理ソファーから立ち上がらせた。
「人の話を聞け、そして離せ。私は家から一歩も出る気はない。」
私は別に引きこもりではないが、かといって友達と仲良く遊ぶような奴でもない。そしてそれは、シズクも同じ。
私もシズクも、クラスでは一匹狼のような存在である。
特に仲の良い友人もいなければ、みんなに疎まれているというわけでもない。
お互いそんな性分だからか、私とシズクは、次第につるむようになった。
シズクといると楽だし、比較的に物事を見る価値観も合う、そんな奴だった。
中学年からの付き合いの私達。
だからか、相手の考えも大体は分かる。
──だが、今回は流石に分からない。
「とりあえず、なんで花見に行きたいのか。そして、なんで私も行かなきゃいけないのかを話して」
私は掴まれた手をそっと外し、逆にシズクの手を掴み、私の横に座らせた。
「お前とどっか行くのに、理由が必要か?」
……………………。
…………なんだコイツ。なんか…イラついてる私が馬鹿みたいに思えてきた。
「…必要ないな。」
早く行って早く帰ろう。
私は、コイツを帰らせることを諦め、次の目標をそう決めた。
───場所は変わって、近くの大きな公園。
八分咲きだとテレビで言っていたが、実際には満開のようにあちこちで咲き誇っていた。
「結構咲いてんな」
シズクは歩きながら、こちらを見ることなくそう言った。
「そうだな…たまには、出掛けるのも良いものだな。」
私は満開に咲き乱れた、美しい桃色の花を見ながら、素直にそう言った。
「誘ってくれて、ありがとう」
私は口許に笑みをたずさえ、シズクに言った。
シズクは何を言うこともなく、前を向きながら、静かに口角を上げた。
それから、あまり話さず、私達は大きな公園を一周してきた。
そして、公園の入り口付近に戻って来たとき、シズクが口を開いた。
「お前────」
その後の言葉は、聞くことが出来なかった。
ふいに、強い風が吹き、その言葉が掻き消されてしまったからだ。
「なんて、言ったんだ?」
いいところで聞こえず、気になった私はそう尋ねた。
するとシズクは、自分より頭一つ分小さい私の頭に手を伸ばし、
「花びら、ついてる」
そう言いながら、ついていた花びらを手に取り、風に乗せた。
「…ありがとう。」
気付かなかった恥ずかしさと、何か釈然としない気持ちを無視するように、私はぶっきらぼうにそう言った。
「そろそろ帰るか」
私はシズクの言葉に頷き、二人並んで、公園をあとにした。
最初は乗り気ではなかったが、わざわざ私を連れてきてくれたシズクに感謝だ。
────「お前には桜が似合うと思った」
その言葉を、ユウが聞くことはなかった。
ユウヤアキラ、初めての小説です!
拙い文章ですが、自分なりに頑張りました!