第22章
美涼はスマホで時間を確認する。
「じゃあ、行ってくるよ」
「おう、行ってこい」
幽霊は放課後にいつも図書室にいる。だから、図書室にしようと決めた。
当然のように空いている図書室に入り、幽霊を見つける。
「…………」
美涼は黙々と本を読んでいる幽霊に近づく。
「ねぇ、幽霊くん」
「お久しぶりですねー。美涼さん」
「う、うん」
美涼はうまく言葉を出せなかった。これから告白する。そう考えると胸が張り裂けそうだ。
「ね、隣いいかな?」
「……えぇ、いいですよー」
美涼は幽霊の隣に座る。
「ねぇ、幽霊、くん」
「はいー?」
幽霊は横目で美涼を見る。
「あ、ちょっと、本を閉じて欲しいな」
「あ、はいー」
幽霊は本を閉じて美涼を見る。少しではなく、かなり緊張している。
(もうやばい。心臓が……)
酷く、暴れているように心臓が動いている。それでも美涼は平常を装っている。
「ねぇ、幽霊くん」
「はいー?」
「私ね……」
「えぇ……」
「幽霊くんが、す、好きになっちゃったみたい」
「はいー?」
幽霊は首をかしげる。
「だからね……」
美涼は幽霊の膝に置いてある手を両手で握る。
「幽霊くん……いや、朝霧幽霊くん。私の……彼氏になってくれませんか」
誰もいない図書室を静寂が包む。美涼は頬を赤くして幽霊を見ている。
「美涼さん」
幽霊は口を動かした。
「…………」
美涼は流れるように、幽霊の口にキスをした。




