表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/23

第16章

 幽霊の誕生日を祝い、家に帰った美涼は楓に電話する。

『なるほど。転びかけて幽霊に助けられたか。そりゃ、早く報告しなさいよ!』

 美涼は耳からスマホを遠ざける。

「いや、でもさー……」

『しかも、私が教えたことをねぇ、無下(むげ)にするとは。こりゃ、いちごミルクとミックスオレを買ってもらわなきゃいけない』

 ちゃっかりしている友人に、美涼は苦笑いを浮かべる。

「でもね、温かったんだ。冷たくはなかったよ」

『じゃあ、幽霊は幽霊じゃないってこと?』

「……そうかも……ね」

 美涼は微妙に頷く。

『あー、そうそう。どうだった?お姉さん』

「んー。あぁ、楓みたいだったよ。明るくて、気さくで」

『へぇー。じゃあ幽霊は私をお姉さんとして見てるのかな?』

「多分違う。あと、仲良さそうに話してたよ」

『なるほど』

 楓は小さくあくびをする。

『ごめん。眠い』

「運動したの?」

『ううん。寝る直前に電話きたから』

「あ、ごめん」

『大丈夫だよ。楽しそうな話題ぽかったからね。こう言う話だろうとは思ったよ』

「勘がいいこと……」

『ほいじゃ、私はねるよー』

「うん。おやすみ」

『これ言うのが幽霊だったらって思ってない?』

 急に楓が吹っかけてくる。

「……思ってない」

『あ、間があった』

「いいから寝なよ」

『たまに見るツンデレ。いただきました』

 そう言って楓は電話を切った。


            *


 楓はしばらく電話画面の「美涼」という文字を見る。

「あーあ。尊いなぁ。さ、寝よ」

 楓はベッドではなく、リビングのソファに転がっている。

「おい、楓」

 名前を呼んだのは、、楓の兄だった。

「ん、なに?兄貴」

「ソファじゃなくて部屋で寝ろよ。お前、部屋にベッドないのか?それとも、酔っ払いか?」

「あるよー。でも、ここで寝るのが気持ちいーんだよ」

「呆れたな。俺にはわかんないな。そう言うの」

「寝れれば同じだと思ってる人だー!」

「風邪ひいても知らないからな」

 ムキになったのか、兄は低めの脅しをして自分の部屋へ戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ