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【完結】大学生になった重遠は全盛期!~未来の娘と紡ぐ室矢家の伝説~  作者: 初雪空
第五章 政治がクラウドソーシング化する時代
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金の切れ目が縁の切れ目

女子だけの剣術大会と、水着が似合う南国の海!

どちらも、命を落とすほどに刺激的!?

https://www.amazon.co.jp/dp/B0DNMBVV8L

『火事です! 火事です!』


 夜の住宅街に、1km先まで聞こえそうな大音量で、合成音声が叫び続ける。


 それを聞きつけた近隣に動きがあり、玄関ドアなどから出てきた。


 車の運転席から、それを見届けた俺は、冷静に告げる。


「出してくれ」

『りょー!』


 可愛らしい声のカペラ。


 黒い高級車は、俺たち3人を乗せたまま、帰路に就く。

 玄関ドアを開けっぱなしで俺が仕掛けた装置による合成音声が、だんだん遠ざかっていった。


(あの白骨死体の棚に置いたから、嫌でも気づく……)


 サイレンを鳴らした緊急車両とすれ違いつつ、座ったままでぼやく。


仲四氏(なかよし)真琴(まこと)である確認は……警察の仕事だ」


 あの白骨死体で立証するところまでは、面倒を見切れん。

 

 警視庁のサポートチームには、報告済み。

 今ごろ、警視総監がここの県警本部長にでも話しているだろう。


『検問だよー!』

「ワープする」


 次の瞬間に、景色は東京のレジデンスの近くへ。


 後部座席で、天ヶ瀬(あまがせ)まりんの声がする。


「今ので、バレたのでは?」


「どうでもいい! この1回では誤作動もあり得るし、んなことを報告書に書いた日にはそいつが左遷されるだけだ……。位置情報は切っているし、追跡していても関係ない」


 その気になれば、遠隔操作で盗聴やらもできるらしいが。


 とにかく、眠い!


 レジデンスの屋内駐車場に入り、車が停まった時点で、全員が息を吐いた。


「はい、終わり終わり! 深夜1時か……。思ったより、時間がかかったな? 降りるぞ!」


 ガチャッと、それぞれのドアが開く音。


 女子2人を見れば、とても眠そうだ。


「あの白骨死体で決まりだろうし、俺の家で休むか? 客用のマットレスとかは、ある……かな? ゲスト用の部屋でもいいが」


 パンッと手を叩いた『まりん』が、すぐに応じる。


「いいですわね! さ、参りましょう?」


 まりんは、未来の母親となる天ヶ瀬(うらら)の手を引き、俺の顔を見た。


「明日の午前中までは、ゆっくりできるだろう」


 屋内を歩いて、俺の家へ。


 元々、家族で暮らすための間取りゆえ、不都合はない。



 ――翌日の朝


 警視庁から、電話がかかってきた。


『――そういうわけで、仲四氏の偽者は県警が緊急逮捕しました!』


 警視総監が本気だけに、怖い怖い。


(検死だって、かなりの順番待ちだろうに……)


 それができる人間を叩き起こした。というか、医療の上にいる人間に頼んだってところ。


「俺たちは、これで降りますよ? 報告書を書けとは、言わないですよね?」

『ハッハッハッ! むろん、書類はこちらで作ります! あとは大丈夫だと思いますが、話が続いた場合はご連絡しても?』


「あー、はい! このスマホは処分するんで、レジデンスの代表電話にお願いします」


『承知いたしました! いやー、これで首が繋がりましたよ!! ほんっとうに、ありがとうございました!』


 俺の専属だった班の責任者である野見山(のみやま)も、これが失敗したらタダでは済まなかったらしい。


 非公式とはいえ、警視総監が俺に土下座してのお願いだからな……。


 担当するのは、総監の懐刀(ふところがたな)か、切り捨てても痛くない問題児のどちらか。

 いずれにしても、失敗すれば良くてクビ。


(下手すれば、殺されかねんな、マジで……)


 ともあれ、麗たちとゆっくり過ごした後で、家族の時間を得た『まりん』はご満悦のまま、カレナに連れられて行った。



 仲四氏真琴の口座は国内外を問わずに凍結され、金をもらえなくなった奴らは手のひらを返した。


 アバターによる配信チャンネルも、アカBAN。


 ネットで検索しても、仲四氏の遺産がどこかにある? という、第二の埋蔵金になっているようで。


 それを知っていそうな地元の中学の卒アルが流出して、特定された卒業生が今ごろになって襲われるなど、散々だ。


 久々に自宅でゆっくりしている俺は、ボソッと呟く。


「同じ中学だった奴らには他人事で、大迷惑だ。しかし……」

「当時の仲四氏も、助けて欲しかったんでしょうね?」


 俺の膝の上に座っている麗が、続きを述べた。


「ああ……。ま、気持ちは分かると言ったが、別に仲四氏はどうだっていい」


「そうですか……」


 息を吐いた麗は、自分のスマホを見た。


「仲四氏と会っていた配信者も、襲われたり、警察に事情聴取をされたりしてますね?」


「大金が絡むと、誰が情報を流すか、分かったものじゃないさ!」


 自業自得という雰囲気に、麗は反論しない。


 俺は、ヌイグルミのようなポジションの彼女を見た。


「今回は、お疲れ様」

「いえ! 私は、重遠さんと一緒にいただけで……」


 『まりん』との約束でもあるし、麗と過ごすために南乃(みなみの)詩央里(しおり)に許可をもらう。


 電話が終わった後で、麗がおずおずと言う。


「あの……。気が早い話ですけど……。わ、私たちの娘ができたら、是非つけたい名前があるんです」


 ゆっくりと息を吐いた俺が促すと、彼女は告げる。


「まりん、と……」


「いいんじゃないか?」


 俺が肯定したら、麗は微笑んだ。


(鶏と卵は、どちらが先なのか?)


 そんな哲学をしていたら、いつもと変わらない衆議院選挙のニュースが流れる。


 大多数の人には、世は全てこともなし、だ。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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