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特異点になった【花月怪奇譚】

召喚儀式は終わった。

室矢重遠が気づかないうちに……。


そして、咲良マルグリットの姿もない。


5巻目で、ベル女編がどうどうの完結!

https://www.amazon.co.jp/dp/B0DFWRPK19

 自宅のリビングで、室矢(むろや)カレナが言う。


重遠(しげとお)! お主、まだ【花月怪奇譚(かげつかいきたん)】のことを覚えているか?」


「忘れたくても、忘れられんよ! 急に、どうした?」


 真剣な雰囲気のカレナは、近寄ってきた南乃(みなみの)詩央里(しおり)を含めて、ゆっくりと説明する。


「お主は、じきに元の世界へ帰るだろう……。落ち着け、詩央里! 私とて、不安なのだ! それを避けてもいいが……。未来を変えてしまえば、例のバックレ帝国――」

「ダルディアス帝国ですよ?」


 詩央里の突っ込みで、時空ではなく、バイト先から逃げ出しそうな帝国は消えた。


 カレナは、言い直す。


「その帝国がどう動くか、読みづらくなってしまう! 今のお主にはマーキングをしているから、今度は次元の迷子にさせないが……」


 考え込んでいたカレナは、説明を続ける。


「前に、(りょう)有亜(ありあ)の娘である愛花莉(あかり)が未来から訪れただろう? それを聞いた娘の1人が、また遊びに来るのじゃ! お主の巻き添えで、違う世界へ行くがな」


「誰の?」


二条(にじょう)(すみれ)の娘である、(さえ)だ……。あやつは重遠の子供だから異能者ではあるが、戦闘やスパイに向いていない」


 カレナの発言で、考え込む。


「違う世界の日本だしなあ……」


「それもあるが……。あやつを長く居させると、男絡みでそちらにいたいと願う恐れがあるのじゃ!」


「なら、すぐに冴を未来か、ここへ帰せば――」

「その場合は、お主の戻ってこられる可能性が大幅に減るぞ?」


 俺は、腕を組んだ。


「話を整理したい! 別の世界の日本で久次(ひさつぐ)竜士(りゅうじ)だった時か……。【花月怪奇譚】のゲームは、どう関係するんだ?」


 詩央里を含めて、室矢家のハーレムメンバーには知らせている。

 もう、そちらの心配をする必要はない。


 カレナは、首をひねった。

 

「それがだな? あのゲームは、この世界を切り取ったような感じで……。ハッキリ言えば、私に近い存在がいると思う」


 俺と詩央里は、緊張した。


「お前と同じ……」

「だ、大丈夫ですか!?」


「それにしては地味というか……。どうにも、腑に落ちないのじゃ」


 珍しく悩んでいるカレナが、自分の考えを述べる。


「私と同格でも、今は弱っていると思う。ならば、放置するほうがマズい……。その正体と目的を突き止め、できれば始末してくれ! 例の帝国に備える意味で、私が残るべきだ。偽装している場合は、かえって警戒されるしな?」


「じゃ、そいつが【花月怪奇譚】を作った? 何で? あ!」


 俺が叫ぶと、女子2人も分かった表情に。


「そうじゃ! こちらの世界とラインを繋げ、戻ってくる気だった」

「今は、いないんですよね?」


 首肯したカレナは、断言する。


「うむ! 普通に販売されていたゲームだから、他に【花月怪奇譚】はいくらでもあるのじゃ! しかし――」


 水中洞窟と同じ。


 Aというポイントから潜り、狭く、無数に分岐している空間を進み、やがてBのポイントから脱出する。


「要するに、Aが久次竜士がいた世界で、Bが私たちのいる世界だ……。そのガイドラインとなるのが――」

「奴の作った【花月怪奇譚】?」


 カレナは、頷いた。


「そうじゃ! もっとも、私が先に利用した形になったようで……。今の例えで言うのならば、お主が通った水中通路は崩れて使えんわけだ」


「俺が元いた世界で、そいつが力を取り戻せば……」


「別のルートを見つけるか、岩盤ごと吹っ飛ばして来るだろうな?」


 ここで、カレナは選択肢を出す。


「いいか、重遠? 冴を先に戻すか、それとも、一緒に帰ってくるか、だ! 前者はお主が弱体化して危険で、後者は冴との別れになるかもしれん」


 結論を出せない……。


「その場の勢いで構わん! 私の未来予知も、完璧ではないのじゃ」


「俺だけのことなら――」

「必ず」


 詩央里の声で、そちらを向く。


「必ず、帰ってきてください」


 2人揃って、とは言わないか……。


 だが、未来の娘を二度と会えず、連絡もできない世界に置き去りは……。


「重遠? お主の懸念は、もっともだ! 私も、タイミングを見計らう。場合によっては、お主がいた世界を吹き飛ばしてでも、その【花月怪奇譚】を作り、こちらへ来たがった奴を消すだけ」


 息を呑んだ詩央里が、思わず尋ねる。


「そ、そうなったら……」


「ああ、死ぬぞ? その世界の奴らがな? だから、どうした?」


 危険な奴、それもカレナと同格……。


 早めに消しておかなければ、こちらの世界が滅ぶだろうな?


「準備はしておいてくれ! 俺は、未来の娘である二条冴を先に帰すかどうかに集中する」


「分かったのじゃ!」

「……気を付けてくださいね?」



 まさか、【花月怪奇譚】が本当にアカシックレコードとは。


 高校時代から、薄々は感じていたが……。


「どうりで、バッドエンドだらけのはずだ」


「まあ、向こうへ行ってから判断すればいい」

「大学生になっても、どんどん問題が増えますね……」


 幸い、今は出席日数を気にせず、自由に動ける。


 その点は、【花月怪奇譚】の本編だった高校時代と比べて有利だ。


 しかし、前世に暮らしていた現代社会か……。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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