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極めた強さは基本に帰る【愛花莉side】

明らかになった、召喚儀式の実行犯。

今日、ベル女で召喚された存在によって世界が終わる。


4巻目は、ついにバトルへ!

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「ところで、お前は――」


 室矢(むろや)重遠(しげとお)が、右手の刀を背中で背負うようにした。

 後ろに立つ巨人の腕とぶつかり、耳を塞ぎたくなるような音が響く。


 しかし、自分の前にいる(りょう)愛花莉(あかり)を見たままだ。


 剣道着を思わせる和装のまま、独白するように呟く。


「俺、考えたんだよ……。消えちまったお前に対して、どう残そうかと」


 後ろに立っている巨人が、狂ったように左右を振り下ろす。


 背中に回した右手で下げた刀によって、ことごとく受け流し続ける重遠。


「今の俺は、千陣(せんじん)重遠じゃない……。当たり前だが」


 壁にもたれて、座り込んでいる愛花莉は、自分のせい? と思う。


 けれど、立ち上がるタイミングがない。


 重遠は相手を見切ったようで、刃を相手に向けたまま、クルリと振り向いた。

 その流れで屈み、立ち上がる勢いのまま、斜めに切り上げる。


 悲鳴らしき声を漏らしつつ、消え去る巨人。


 けれど、赤のライトで照らされた通路のどちらも、敵が密集している。


 ゆっくりと自然体に戻った重遠は、静かに呟く。


千尋(せんじん)水天一黒(すいてんいっこく)……」


(完全解放だ)


 状況を理解した愛花莉は、思わず目を見張った。


北垣(きたがき)おば様の千狐丸(せんこまる)錬大路(れんおおじ)おば様の氷月花(ひょうげつか)は見たことがある)


 御神刀を持っている人物は、室矢家でも少ない。


 愛花莉を始めとする娘たちは、その2人について、見学した。


 戦略兵器に匹敵するほどの威力で、それぞれに厄介。


南乃(みなみの)おば様も、士坤号(しこんごう)という(ほこ)があるはず……。敵対した時のためか、見せてくれなかったですけど)


 その士坤号は、格好いいドイツ語で言う必要があるうえ、いい年をして白いワンピース姿となる。

 おまけに、完全解放は星をも砕く長距離射撃だ。


 色々な理由で、南乃詩央里(しおり)は、いいえ、私はお断りします。と微笑んだそうな……。


天沢(あまさわ)おば様は、立場上、仕方ありませんが……)


 重遠の妻の1人となった天沢咲莉菜(さりな)

 彼女は、四大流派の1つ、桜技(おうぎ)流の筆頭巫女だ。


 その天之羽芭霧(あめのはばきり)を抜けば、神敵を滅する合図となる。

 軽々しく抜刀できず。


 付け加えれば、咲莉菜はいい年をして、少女趣味である大正ロマンの姿になれる。

 大真面目に。

 それを笑ったら、桜技流の敵となるから注意!


 けれど、彼女たちは口をそろえて、夫である重遠が最強だと言う。


(本当に、そうなのか……)


 愛花莉は、自分が消える直前であることを忘れ、未来の父親となる大学生を見つめた。


 霊圧は、変わらない。


 ただ、赤いランプに照らされた刀身が黒く染まり、その和装も黒になっただけ。


(それだけ!?)


 他の御神刀の解放では、凄まじい霊圧が吹き荒れ、それが収束するか。

 あるいは、巨大な力を示すことで、周りの敵を滅ぼす。


 けれど、愛花莉には何も感じられず。


(やっぱり……)


 自分の男を立てていた。


 お父さんに求められるのは、その血筋の継承と、四大流派のまとめ役だ。


 多国籍軍の空母打撃群を殲滅したとか、色々なエピソードを聞かされた。

 私たちの間でも、その真偽を疑ったものだ。


(本当に最強である必要は――)


 片手で血振りのようにヒュッと振った重遠が、その心情を察したかのように独白する。


「前は『大千(だいせん)山水画(さんすいが)』と呼び、周りに別の宇宙を広げていたが……」


 霊圧を感じない重遠が、黒一点で、切っ先を下げたままの両手持ちへ。


「やっぱり、『千陣』が入っていないと! そのままだと千陣流の贔屓(ひいき)になっちまうから、面倒な話だ」


 重遠は、愛花莉を見下ろした。


「お前……。今、『期待したほどではない』と思っただろ?」


「い、いえ……」


 図星だった愛花莉は、かろうじて否定。


 気にしていない重遠は、ジリジリと迫っていた敵の群れ、その片方に向き直った。


「まあ、俺の強さは他人が勝手に決めることだ……。しかし――」


 ブレたと思えば、習字の一筆書きのように敵の群れが切り裂かれた。


 刀の振りに合わせて、反対側の敵のほうを向く。


「ふっ!」


 息を吐いた直後に、突風。


 愛花莉がそちらを向けば、すでに敵は全滅していた。


 黒い刃を持ったままの重遠は、端的に説明する。


「霊圧を垂れ流しても、意味はねえ! 俺に剣術の流派はなく、この刀で斬るだけのこと……」


(まさか、その霊圧を全て刀身に!?)


 よく見れば、和装の端に黒い波動。


 おそらく、その着ている服を含めて、完全解放なのだろう。


 それにしても――


甚兵衛(ジンベエ)と呼んでいたが、今は千尋だ!」


(ノリで真名を変えないでくださいまし……)


 すると、戻ってきた重遠は黒い刃で床から壁までを切り裂いた。


「まあ、ここで話すのも何だ……。とりあえず、帰るぞ?」


 空間が壊れていき、2人は落ちていく。


 気づけば、元の世界のどこかへ。



 ◇



「疑惑の中心である次元振動研究室へ、K県警の機動隊が突入するようです!」


 テレビ局のリポーターが、興奮した様子で叫んだ。


「すでに本部の刑事2人が入っており、連絡が途絶えたことから、救出するための部隊でもあります」


 ズラリと並んだ、お馴染みの機動隊。


 隊長の命令で、大盾を持った隊員たち、その第一陣が橋頭保を築こうと――


 そのうちの1人が、スタスタと歩み出た。


「おい? 貴様、どこの隊だ!?」


 指揮官がすぐに誰何(すいか)したが、バイザーを下ろしたヘルメットで顔は分からず。


 テレビカメラが回っていることで、すぐに動けない。


 いっぽう、不審な隊員は、左腰で握ったような手に、右手を近づけた。


 その間にも、異空間の入口へ歩き続ける。


「官姓名を言え! 査問にかける――」


 一瞬で加速した機動隊員は、抜刀術のような動きをしつつ、叫ぶ。


天破斬撃(てんはざんげき)!』


 黒い刃が空を切り、その軌跡が大きな黒い刃となって、飛んでいく。


 いや、空間そのものを侵食しているのだ。


 それは、大勢が見守る中で、次元振動研究室から通じている異空間の入口を消し飛ばした。


 リポーターが、自分の感想を述べる。


「な、何が……。あ! さ、先ほどの機動隊員の姿は?」


 もはや怒鳴り声だけの空間で、全員のヘルメットが外されたが、さっきの犯人を探すのは骨が折れそうだ。


 機動隊員の格好をした室矢重遠は、とうに地面へ落ちて、帰った後。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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