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チケット不要のワンダーランド

明らかになった、召喚儀式の実行犯。

今日、ベル女で召喚された存在によって世界が終わる。


4巻目は、ついにバトルへ!

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 異国のトウモロコシ畑を貫いている、土の道。


 そこにいる集団は、緊張していた。


「警察だ! 銃を捨てろ!!」

「早くしなさい!」


 拳銃を突きつけた、スーツ姿の吉見(よしみ)八代(やしろ)沙矢(さや)


 その対象である女子高生の(りょう)愛花莉(あかり)は、違う方向に半身のワンハンドで拳銃を構えたまま。


 青空で、セミオートマチックの上半分がシルバーのため、とても目立つ。


 両手で拳銃を構えている吉見が、ジリジリと横にズレつつ、再び警告。


「そのまま、銃から手を離せ! さもなければ、撃つぞ!!」


 パートナーの沙矢は元の位置で、やはり両手の構えだ。


「次は警告しないわ!」


 呆れた愛花莉は、射撃姿勢を崩さずに、刑事2人のほうを向く。


「今の状況を分かっていますの?」


 対する吉見は、愛花莉から視線を外さず。

 

 沙矢が首を動かして、周囲をチェックする。


「……ヒッ! は、班長!!」


 怯えた叫びに、吉見は後ずさりしつつ、周りを確認――


 そこにあったのは、外国人のグループが3つほどに分かれ、後ろのストックを折り畳んだ小銃を両手で構えている光景だった。


 下に落ちている紙袋や箱、デイパックを見る限り、そこに隠していたようだ。


 彼らはお互いに固まり、全ての方向をカバーしている。


 それを見た吉見は、フリーズした。


 日本には実銃とほぼ同じエアガンがあるものの、その雰囲気と構えはサバゲに思えない。


「チッ! こいつらも、狙いは同じか!?」


 ゴツい男の吉見が叫んだことで、さらに空気が張り詰めた。


 外国人グループが肩付けしているアサルトライフルの銃口はスッと上がり、人差し指はトリガーにかかる。


 当たり前だが、3つのグループはそれぞれ、刑事2人にも銃口を向けた。


 失言だった。


 吉見が自覚した時には、どの外国人も息を荒げつつ、自分のグループ以外を敵視している。


 このままでは、誰かがトリガーを引いて、連鎖的に全滅だ……。


 慌てた吉見が、取り成す。


「待ってくれ! 今は協力して――」

「Let's keep our distance from each other! Or are we just going to get wiped out?(お互いに距離を取りましょう!それとも、このまま全滅する?)」


 愛花莉の叫びで、3つのグループが一斉に彼女を見た。


 じきに、1つのグループから返答。


「All right. Moving on!(いいだろう。移動する!)」


 リーダーらしき男の宣言で、フォーメーションを組んだままの小集団がそれぞれに違う方向へ銃口を向けたまま、遠ざかっていく。


 それを見た2つも、決断する。


Поехали(パイヤフレ)!(行くぞ!)」


脱离トゥニィ!(離脱する!)」


 同じように、いつでも全方向へ撃てるフォーメーションのまま、最初のグループと反対側への道沿いか、トウモロコシ畑の中へ消えていった。


 それを見届けた愛花莉は、ずっと水平にしていた腕を下ろす。


 我に返った吉見が、再び拳銃を突きつけるも、さっきまでの勢いは失せた。


 愛花莉が提案する。


「私たちも、協力するべきでは?」


「銃を捨てろ! 話は――」

 ヒュッ


 吉見は、投げられた物体を片手でキャッチ。


 上がシルバーで、下は黒のプラスチックの拳銃だ。


 相手の銃口を気にせず、愛花莉はスタスタと歩き出す。


 それを見送った吉見は、自分の拳銃をホルスターに収めた後で、彼女の銃を見た。


 玩具(がんぐ)のようで、グリップの下からマガジンを外せば、バッテリーのよう。

 上のスライドを引こうとするも、動かず。


 銃口を横から覗けば、縦に細長い。


 実弾どころか、エアガンの弾も無理だろう。


 試しにトリガーを引いてみれば、カチカチと、やはり玩具のような感触。


「魔法を発動させる(バレ)か?」


 ということは、真牙(しんが)流にいる魔法師(マギクス)だ。


 『(りょう)あかり』の名前も、あながち嘘ではない?


「突破口はできたな……」


 真牙流、そうでなくても梁一家に事情を聞ける。


 物証があれば、捜査本部も黙るだろう。


「どんだけ偉くても、ここは俺たちの縄張りだ」


 高みの見物をしている本庁や警視庁に、荒らされてたまるか。


 そう思いつつ、『あかり』から押収したセミオートマチックを(ふところ)に仕舞った。

 念のため、バッテリーのようなマガジンは別で。


 周りを見渡せば、その『あかり』が撃った男子に、他の人間が集まっていた。


 急いで、そちらへ走り寄る。


「どうだ? まだ生きているか!?」


 誰も返事をしない。


 眉をひそめた吉見は、倒れたままの男子を見て――


 舞台の書き割りのように正面だけ描かれた男子のペラペラな皮と、黒いカビの集合体を人の形に練り合わせたような残骸に、言葉を失った。


 地面にへたり込んでいる男子、次元振動研究室のガイド役だった草道(くさみち)は、呆然としたまま。


 もう1人の男子である近藤(こんどう)は、錯乱している。


岡部(おかべ)? おい、嘘だよな? 嘘だと言えよぉおおおっ!」


「ムダですわ……。彼はもう、この世界の住人になったのですから」


 可愛らしい声が、残酷に告げた。


 愛花莉は、制服のまま、長い黒髪をなびかせた。

 

 白い肌と、赤と黄色のオッドアイが、この異常な空間によく似合っている。


 それを見た沙矢は、思わず呟く。


「ワンダーランド……」


 それは、不思議な国への招待状。


 ようこそ、出口のない狂った世界へ!

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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