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思い出
入院中、何の脈略もなく昔の思い出のシーンが蘇る。6年間駐在していたニュー・ヨーク、何度も旅した京都や伊豆。好きな所ばかりだ。そのシーンには何故か人影がない。街並みや景色だけだ。全て妻と一緒に行った場所で、楽しい思い出を思い起こさせる。
全て、もう、ただの思い出だ。このような楽しい思い出は辛さを増すこともある。思い出は、日々の生活の中で勝手に出来てしまう。楽しい思い出は多い方がいいと思っていた。でも、「思い出」は「思い出」、過去の出来事。もはや再現はできない。将来、これらに匹敵する楽しい思い出を作る事を期待出来れば、過去の思い出もいいものだけれど、今は何か将来の楽しいことを望めば辛いだけなのである。