序説
地球を含む宇宙をゲーム盤として活用できる知的生物が存在している。その知的生物が地球上で生息できる生物の模型を選び、その模型に基本的な性質や性格、能力などを記した設計図を作り、その設計図に応じて4種類の塩基を組み合わせて配列したDNAを組み込み地球上に投入していた。模型の種類により組み込めるDNAの配列や長さに制約があるため、初心者はそれらの選択肢が少ない生物の模型から始めることが多く、上級者になると、それらの選択肢が多く極めて複雑なDNAを組み込むことができる生物を扱うことが多い傾向にあるようです。それとは別の観点から、極めて高度に進化した生物、例えば人間などは、その生物としての機能面のユニークさから好んで選ばれることが多いようです。
ともあれ投入された生物模型は、周囲の環境と自分自身の経験、それにDNAの機能に基づき成長していく。例えば、DNA等の作用により特定の特徴を持つ他の生物模型に出会うと恋心を醸成したり、時限爆弾のようにDNAがある期間を存続すると病気を発症する物質を生成したりする。また、他の特定の生物模型と出会うとその生物模型に寄生し繁殖するDNAをもった生物模型なども存在した。このようなDNAは、そのDNAを持つ生物模型の投入者である知的生物の意図に反して機能するものもあり、それがこのゲームの醍醐味の一つともなっている。そして、各々の生物模型はその成長過程において遭遇する様々な物質や他の生物模型の影響と組み込まれたDNAの機能により徐々に生き方を変えおのおのの人生を歩んでいく。時には事故や災害のような不遇な事態に巻き込まれ、その生物模型の生命が突然終焉を迎えてしまうようなことや、それまでの生き方が全く変わってしまうような状況にその身を置かざるを得ないこともある。更に説明困難な理不尽な事態に遭遇し、同様に生命の危機を迎えたり、生き方を変化させられたりもすることがあった。そして、ある生物模型は個体としてあるいは種として姿を消し、またある生物模型は子孫を増やし独自に進化を継げることもあった。新型の生物模型の場合、その特異性により直ぐに消滅してしまうリスクを抱えるが、生き残ることができれば他の生物模型の生態に大きな影響を与え、結果としてゲームにおいて高得点を挙げることがあった。そして、ゲームに投入された生物模型が死亡すると一つのステージが終了する。死亡した生物模型に子孫が存在すれば、その子孫がそれぞれゲームの新たなステージを構成し、最初の生物模型の投入者は継続してゲームに参加できることになる。各ステージの成績は、それぞれの生物模型が生存中に稼いだ得点により決まる。この得点を稼ぐ具体的な方法は明らかになっていない。そんなゲームでの生物模型の存在が地球上に生息する生物であると想像していた。そんなお気楽な空想を楽しんでいた人間模型かもしれない一人の人間が、突然、不慮の事態に遭遇する本当の話である。これも冒頭の知的生物が設計した運命によるものなのだろうか?
本当の話なので辛辣な表現や不適切な表現などが随所に見られると思うが、それらの意味するところも作者の率直な思いであり個人的な見解である。その思いや見解を他人に押し付ける意図は全くなく、一部または全ての思いや見解に対し不愉快に感じる人や異論がある人も多々いると思われる。しかし、この文を読みそのように感じた人は、ここに書かれているような思いや見解を持つ人が存在するという認識を得ることでご容赦下さい。