外道、初めてのVRMMOで案の定人の心をドロップする
朝焼けが窓を染める中、モニターの前に座る一人のゲーマー、彼の名は真地野下銅、彼の目の前には、今日からβテストが開始されるVRMMOカオス・クラフト・オンラインのログイン画面が広がっていた、カオス・クラフト・オンラインはプレイヤー全員が装備品をクラフトして攻略するゲームでありプレイヤー達のプレイスタイルは生産特化か戦闘特化に別れるだろう、彼がこの新たなVRMMOをプレイする目的は一つ、このカオスな世界で面白くて強い武器を作り生産職プレイヤーとしてその名を轟かせることだった。
「いやー!まさかβテストが応募すれば全プレイヤーが参加出来るとか思わなかったぜ!」
俺はそんな事を考えながら眼の前に浮いてる石版の様な物で早速キャラクターの作成をしていた、取り敢えずプレイヤー名はゲドにして初期ステータスは魅力や器用さ特化で振り分けていく、初期スキルは(クラフト)(テイム)(装備改造)(鞭)(回復魔法)を選んだ、今の俺のステータスはこんな感じだな!
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キャラ名:ゲド
Lv:1
ステータス:
筋力:10
耐久:12
器用:18
魅力:20
知力:15
スキル一覧:
(クラフト)(テイム)(装備改造)(鞭)(回復魔法)
武器:初心者の鞭
防具:
頭:無し
胴:初心者の服
腕:無し
膝:初心者のズボン
足:初心者の靴
アクセサリー:無し
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よし!こんな感じでいいだろう!これでキャラクター作成を完了っと!
光が収まり目を開けると噴水の近くに立っていた、現実の様なグラフィックに驚きながら俺は早速テイムスキルでモンスターをテイムして戦力を強化しようと街から出て近くの森林フィールドへ向かった。
「さて、何のモンスターをテイムしようかな〜!」
俺はそう言いながらテイムするモンスターを探していた、すると後ろから髪がオレンジのプレイヤーが話し掛けてきた。
「おっ!やっぱりゲドだったか!お前もβテストに参加してたんだな!」
「そう言うオウルもβテストに参加したてたんだな!」
話し掛けて来たのはPCのMMORPGでフレンドになったオウルだった、何かのβテストに参加すると聞いていたがまさかオウルもこのゲームをプレイしてるとは思わなかったぜ。
「せっかくだし一緒にプレイしようぜ!」
「ああ、構わないぜ!早速パーティーに招待するぞ」
オウルはサンキュー!とお礼を言いながら俺のパーティーに参加した、その後俺達は一緒に森を探索して行き安定感が上がったお陰で戦闘も楽になった、しばらくした後俺はやっとモンスターを初めてテイム出来た、テイムしたモンスターはマンドラゴラと言うかなりうるさい叫び声で攻撃してくるモンスターだった。
「やっとテイム出来たな!でもコイツ強いのか?」
「うーん、叫び声は与えるダメージ自体は低いけど固定ダメージだから敵の防御力を無視してダメージを与えられるのは強いかな?」
「そんなもんか、まあ育てればそのうち強くなるだろ!」
「でもまてよ……あっ!いい事思いついたぞ!」
「……何か凄く嫌な予感がするぜ」
俺は早速スキルの装備改造でさっきテイムしたマンドラゴラを鞭に括り付けてみた、その結果出来たのがこれだ!
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名前:マンドラゴラの鞭
攻撃力:15
説明:
初心者の鞭の先端にマンドラゴラが括り付けられている、攻撃するとマンドラゴラが叫ぶ為少量の固定ダメージも同時に与えられるまあまあ優秀な鞭、これを作成した者は何を考えて自身のテイムモンスターにこの様な仕打ちをしたのだろうか?
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「………前から思ってたんだけどゲドってまじで外道の様なプレイをするよな?」
「そうか?そんな事は無いと思うが」
「俺少しお前が怖くなってきたぜ、テイムしたマンドラゴラを鞭に括り付けるのに一切躊躇が無かった、ノータイムで括り付けたよな?」
「でも結構強そうな武器が出来ただろ?何かを得るのに犠牲は付き物さ!」
「あのマンドラゴラのつぶらな瞳をみて何も思わなかったのか??」
「とても忠誠心が高そうだったね!」
「………俺とんでもない奴とフレンドになったかも」
そんな事を言いながら俺は凄くいい事を思いついていた、俺の武器強化計画を達成する為にかなり引き攣った顔で俺を見ていたオウルに計画の詳細を話して協力を頼んだらオウルは何故か尋常じゃない程ドン引きしていた、その後俺達はひたすらマンドラゴラをテイムして回った、そしてマンドラゴラを合計で十匹テイムした所で俺はテイムしたマンドラゴラ全員を全てスキル装備改造で鞭に括り付けた、それをオウルはまるでとんでもないサイコパスを見てるかの様な表情で見届けていた、それで完成した武器がこれだ!
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名前:生贄のマンドラゴラ達
攻撃力:120
説明:
十匹のマンドラゴラ達がまるで親の敵が如く一定間隔で括り付けられてる鞭、攻撃すると一斉に叫んで敵の防御力無視して固定ダメージを多段ヒットさせる非常に強い武器、これを作成した者はもはやとんでもない外道である、いったいこのマンドラゴラ達に何の恨みがあったと言うのか………
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「…………なんかこのマンドラゴラ達の表情が絶望してる様にしか見えない」
「そうかぁ?何か元気いっぱいに動いてるけど?」
「誰がどう見ても決死の覚悟で脱走しようと必死に藻掻いてる様にしか見えない件について」
「大袈裟だなぁオウルは、こいつ等は敵に飢えてるんだよ!なんて忠誠心の高い奴等なんだ……そんなに心配しなくても直ぐに敵を倒して俺の為に経験値を稼がせてやるからな、だから安心してくれ!」
「おいおいおい……コイツとんでもねぇクレイジーサイコ野郎だ!!人の心はねぇのか!?」
「おっ!?こいつら急に動きが激しくなったぞ!そんなに喜ぶなって〜!照れちゃうだろ〜!」
「俺もうヤダ……コイツ怖い……」
森の奥深くで苦労しつつも一匹ずつマンドラゴラをテイムした俺達、長時間かけて無事に俺の武器強化計画は成功し「生贄のマンドラゴラ達」と言う武器を完成させた、「攻撃するたびにマンドラゴラ達が叫び声を上げ、敵に固定ダメージを多段ヒットさせる」という特性を持つこの鞭は、βテスト開始早々に彼が手に入れた唯一無二の武器となった。完成した「生贄のマンドラゴラ達」を手に、「これで俺の生産職プレイヤーとしての栄光への道が始まる!」と宣言するように、ゲドはオウルと一緒に残りのβテスト期間を毎日欠かさずプレイした、βテスト期間中ゲドはその人の心を下水にドロップしたようなとんでもない武器や防具をかなりの数作成した様なので1つだけ他の作成した装備を紹介しよう、彼はこのゲームにフレンドリーファイアが無いことをいい理由に全身鎧に満遍なくテイムしたマンドラゴラを貼り付けダメージを食らう度に相手に固定ダメージを超多段ヒットさせたりする鎧を作成した、PVPのコロシアムでその鎧の試運転をしたので対戦相手のプレイヤー含めて見ていたプレイヤー全員が引き攣った顔でドン引きしていた、その出来事をきっかけに彼は外道卿と言う二つ名で有名な生産職プレイヤーに成った、しかしカオス・クラフト・オンラインの正式サービスでテイムしたマンドラゴラが案の定下方修正されたのは未来の話だ。
「カオス・クラフト・オンライン」の世界において、ゲドという名前はやがて多くのプレイヤーが恐れ敬うものとなり、その名前はβテスト期間を超えて語り継がれることになるだろう。