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第76話 サンドリッチの門番


 クロワツ山を降りて、サンドリッチの街へ目指す私たちであるが、一つ心配がある。


 とりあえずワイバーンは私の浮遊魔法で超上空に浮かせているから人間たちを驚かせることはない。


 だが、私たちがいきなり魔族の姿のままで街に現れたなら、人族も警戒するだろう。


 ってことで、全員に『擬態』の魔法をかけ人間風味な姿にはしてるのだが……。


 私たちのコスチュームは特攻服にエプロン。頭にナプキンを巻いて、恥ずかしくカスタマイズされたバイコーンを駆る珍集団だ。


 はっきり言って、魔王軍爆走愚連隊というか『魔王軍爆走ド変態』と言っても過言じゃない。


 誰が見ても怪しさ満点だと思う。

 こんなの入り口で絶対に止められるよな?

  

 と、そんなことを考えているうちに、サンドリッチの街の入り口へと私たちは到着する。


 分厚い石を重ねて作られた、大きな外壁。入り口はアーチ状になっていて、数人の門番が厳しい顔つきで両脇に立っている。

 

 よし、こうしよう。


 門番なんか無視して、堂々と街の中へと入ろう。何くわぬ顔してしれーっと街の中に入っていこう。


 私たちはバイコーンに乗ったまま、入り口を通り抜けようとする……が、やはりというか、門番たちが私たちを呼び止めた。


「おい、変なカッコのお前たち止まれ! 何を勝手に通ろうとしているんだ!?」


 くっ! ……変なカッコ……!


 そんなもんわかってるわ! 好きでこんなカッコしてるわけないだろうが! という言葉を私はすんでのところで飲み込んだ。


 私は別に人間たちと争いに来たわけじゃない。


 あくまで、私の愛するユーナのことだけを考えてこの街に来たのだ。


 私は何食わぬ顔で門番に目を向け。


「通ってはダメなのか?」


「当たり前だ! 素性のわからんヤツを通すことはできない!」


「素性か。今は明かすことはできないが、私は神託の勇者ユーナ・ステラレコードの友人だ。どうか通してほしい」


 私は門番たちに深く頭を下げるがしかし、その誠意に反して門番たちはそろって槍を向ける。


「はぁ? お前みたいな変なヤツがユーナ様のご友人だと? ふん! どこの馬の骨ともわからんお前の言うことなど信じられるか!」


「そうだそうだ! だいたいからしてなんだお前らの服の刺繍! 気持ち悪いわ!」


「ヘアスタイルも馬の装備もダサいし、田舎もん丸出しだ! この街に田舎もんは入れねーよ!」


 この魔王軍の頂点にして魔王たる私の丁寧なお願いも門番たちにはどこ吹く風だ。


 それよりも私たちの見た目ばかりを指摘して、に門番たちは口々に罵っていた。


 魔王軍爆走愚連隊の者たちはといえば、そんな罵倒がよほど応えたのか、怒りでプルプルと震えている。


 ポリシーやトレードマークをバカにされたことで、今にも飛びかからんとする怒りの表情を浮かべていた。


 ノゾッキーに至っては眉を吊り上げ、歯牙を剥き出している。


 ふむ……気持ちはわかるが、騒ぎを起こすわけにもいかない。


 そこで私は、門番たちにこう告げる。

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