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第73話 狩るぞコラ!

「ノゾッキー特攻隊長ぉおおお! 戦闘準備が整いやした!」


 魔王軍爆走愚連隊の一人がノゾッキーに大声で駆け寄る。


「オッケェエイ! うっし、てめぇら気合い入れろ! セッシャたちは魔王軍爆走愚連隊のカンバン背負ってんだからよ! 情け無い姿を魔王総長に見せんじゃねーぞ!?」


「「「押忍ッッ!」」」


 私たちを獰猛に威嚇の咆哮を上げる巨大なワイバーンの姿に、魔王軍爆走愚連隊のメンバーは誰一人として怯まない。


 ここにいる私、そしてノゾッキーを含めた魔王軍爆走愚連隊の者たちはワイバーンに負けるだなんて思ってはいないのだ。


 というか、喧嘩上等。

 相手がワイバーンだろうがなんだろうが関係ない。ぶっ込んでくんでヨロシク!


「よぉし、てめぇら行くぞー!」


 すると、ノゾッキーが大声で号令を出す。


 いつもは盗撮バカのくせに、今やノゾッキーはチームを引っ張る勇敢な魔王軍四天王として、配下たちのモチベーションを燃え上がらせていく。


 いつもこうしてくれたら私も嬉しいんだが……と思う。


 と、そんなノゾッキーからつい先程、私はこう告げられていた。四天王らしく、魔王軍爆走愚連隊の指揮は任せてほしいと。


 魔法を放つタイミング、物理攻撃の指示などを自発的にやりたいという。


 だから私はノゾッキーにワイバーン討伐をするにあたり、


「わかった、ノゾッキー。細かいことは言わない、お前が四天王最強ということを私に証明してみせろ!」


 とだけ伝える。


 たしかに私が一人でワイバーンを倒すのは容易い。しかし、それでは部下の成長はない。


 行動を一任することで、ノゾッキーたちが素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれるなら、彼らの成長にも繋がると私は思う。


 すると、ノゾッキーは顔を輝かせて私に言った。


「ありがたき幸せ! セッシャたちが見事にワイバーンを討伐するところを魔王総長にご覧に入れます!」


 ビシッ! と敬礼すると、ノゾッキーは魔王軍爆走愚連隊を率いてワイバーン目掛けて駆け出す。


 私は腕を組み、魔王軍爆走愚連隊の勇姿を見守ることにするのだった。


 ワイバーンの討伐が始まる──!



 ☆★



 魔王軍爆走愚連隊とワイバーンの戦いの火蓋は切って落とされた。


 見上げるばかりの圧倒的な威圧感を放つ大型ワイバーンに、勇猛果敢に突撃していく魔王軍爆走愚連隊。


 先頭は四天王ノゾッキー。


 しかし……。


 ドラゴン種の中では中堅クラスとはいえ、大型の上位ドラゴンにも匹敵するこの大型ワイバーンは、魔王軍爆走愚連隊の攻撃を物ともしなかった。


 地面を踏みしだく轟音と耳をつんざく咆哮を響かせて、強烈なワイバーンの猛撃が降り注いでいく。


 灼熱のブレスと凶悪に鋭い爪、そして思ったより素早い動きに翻弄されるノゾッキーたちは、かなり苦戦していた。


 ……ていうか、一網打尽と言っていいほどに、めっちゃヤられていた。


 打ち付けられ、あれよあれよと吹き飛ばされていく魔王軍爆走愚連隊の面々。

 そして泣きながらワイバーンに背を向けて逃げだすノゾッキー……。


 それだけじゃない。さっきまでイキり散らかしていた魔王軍爆走愚連隊たちが全員、私のいる場所へとしっぽ巻いて逃げてくる。


 おまいら、さっきまでビッと入っていた気合いはどこへ行ったのか……私の方が泣きたくなるわ!


 そして、滝のように涙を流すノゾッキーが私の足にすがりつき、懇願するように私に言った。


「うわぁああああん魔王総長ぉおおお! セッシャたちの攻撃がワイバーンに効かないんですけどぉ! どうしましょう! ねぇどうしましょったらどうしましょう!」


「大の男が泣き喚くな、みっともない! ていうかお前、魔王軍爆走愚連隊のカンバンとやらはどうした!? 情け無い姿を見せるなとか言ったばかりじゃないのか!?」


「だってだって! だってなんですもん!」


 なんだその喋り方……腹立つわ……!


 ドバドバとサングラス下から涙をこぼすノゾッキーは絶望の表情をしながら、私にかわいく告げる。


 ぜんっぜんこのバカがかわいくないのは置いといて……ノゾッキーは実力もあり、本来ならそこら辺の高ランク冒険者よりは強い。


 だが、やはり生物界最強と謳われるドラゴン種には歯が立たなかったか……!


「まったく……! もういい、わかった! 私がワイバーンとタイマンでケリをつける! お前たちは下がっていろ!」


 嘆かわしいが、現状ではそれしか手段がない。


 私は部下たちを後ろに、ワイバーンに向かい歩きだす。


 仕方ない。

 こいつらが命を落とさなかっただけ良かったことにしよう。普段は私がノゾッキーに魔法ぶっ放すのは置いといて……!


 私は魔王軍の頂点にして魔王。

 部下の失敗ばかりを責めるような真似は出来ない。


 一任した私にも責任があるし、部下をフォローするのも魔王たる私の務めなのだ。


 責任持って、私がワイバーンを討伐してやる……!



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