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第67話 次の目的地は!


 私をニャンコとして覗き込んでいるユーナたち。

 私は思った。バレてはならない……とりあえず全力でかわいく振るまい、この場はニャンコとしてやり過ごさなければ、と。


 私はユーナたちをぼんやりと眺めるようにして小首を傾げ、とりあえず「なーおう」と鳴いてみる。


「うわぁ、かわいいね〜! ほら、よちよち!」


 そうすると、ユーナとシャンプル、キノコが交互に私の頭をナデナデしてくる。


 ……おふぅ……気持ちいいではないか。

 ついでに言うと、私はユーナに抱っこされていて、もしかしてここは天国なんじゃないか? と思うほど幸せを感じていた。


 と、ここでギルドマスターが言う。


「あ、あの〜。勇者様? そのネコはギルドの飼い猫ではないです。おそらくどこかから入ってきた地域猫でしょう。っと、話しを続けていいですかな?」


「あっ! ごめんねモッチさん。で、【サンドリッチ】の街には何かあるの?」


「えぇ。あの街は今、二つの問題がありまして」


 ギルドマスターが神妙な顔つきでユーナに答える。


「あの街は今、ドラゴンに苦しめられているんです。人間だけでなく家畜も襲われたり、時には農作物を根こそぎ燃やされたりと、状況は最悪なんですよ。それに加えて……」


「加えて……?」


「んみゃあ……?」


 抱き抱えられたままの私と、ユーナが同時に首をかしげる。


「領主の【アクーダ・イッカン】という男がこれまたヒドイ奴でしてね。なんでも、『ドラゴンから領民を守る』という名目で税金をべらぼうに釣り上げ、領民の生活をひっ迫させてるらしく……民は貧困に喘いでるんだとか……」


「なんそれ! ヒドイ奴やね!」


「ええ。そして、金が払えなければ農作物で補えと言い、それもできなきゃ奴隷のようにこき使う……逃げようにも街の外にはドラゴン。街には領主と挟まれて民は嘆いてると耳にしてます」


「「「はぁ……!?」」」

「ウホ……!?」


 ユーナたちの表情が険しくなる。私も「んみゃ……!」とひと声鳴いて、ただユーナに抱きしめられていた。


「そんなんで、その街の冒険者たちは何もせんの? みんな苦しんどるのに!? かわいそうやないの!?」


「勇者様、あの街の冒険者なんかとっくに街を捨てて逃げましたよ。ギルドは崩壊、街に兵や騎士もいるにはいますが、【アクーダ・イッカン】と一緒になって領民を虐め散らしてるクズばかりだそうで。彼らは自分さえ良かったらそれでいいんでしょう」


「なんてことしよるん! ユーナそういう人たち大キライ! 許せない!」


 ユーナのあまりの剣幕にギルドマスターは会話を続けるのをためらいつつも、再び話しを続けた。


 そしてそんな中、私はいま危機的状況に陥っていた。


 ユーナ、君の怒りはじゅうぶん伝わる。……だけど抱きしめる力が強いよ……苦しい。


 わ、私はいまニャンコなんだが……。


「で、では勇者様。まさかあなた方が【サンドリッチ】の街をお救いになると……!?」


「もちろん! だって、困ってる人を助けてやれないなんてそんなん勇者ちゃうもん! ねぇみんな!」


 チラ、とユーナがキノコとシャンプル、エツィーを見やると、彼らは力強くうなずいていた。


「もちろんさユーナちゃん! 魔王軍と戦うことばかりがボクらの使命じゃないし!」


「えぇ、みんなを助けましょう! 勇者様、ぜひやらせてくださいまし!」


「ウホ! 我が剣は魔王ヨルケス・ブーゲンビリアを倒すためのみにあらず……! 参りますゴリ……参りましょう勇者殿!」


「みんなありがとう! そー言ってくれるって、ユーナ信じちょった!」


 仲間たちの言葉に、ユーナが嬉しそうな表情を浮かべ、微笑んだ。


 そんな彼らを見ながら、私は一人考えていた。


 なるほど、このままユーナたちが【サンドリッチ】の街に行くとドラゴンに遭遇することは目に見えてる。


 しかしだ。

 キノコもシャンプルも、もちろんエツィーでさえも重要なことを忘れてないか?


 ユーナはレベル1だぞ? 伝説の剣・エクスカリバーを所有してるとはいえ、か弱い女の子なんだ。


 となれば、私はいつまでもニャンコでいるわけにはいかない。

 ほっておけば、私の大事なユーナがドラゴンの牙に襲われて……!


 ……ん? ちょっと待てよ? その前に……!


 エツィー、お前私を倒すって言った? 言ったよね?


 よし、お前はまたフルボッコにしてやる。覚悟しとけ……!


 と、私がエツィーに対してイラオコのプンオコになっていると、バカゴリラがユーナに向けて言う。


「ところで勇者殿……ワガハイにもそのネコちゃん、抱っこさせてほしいゴリ……ほしいのですが!」


「ん? えぇよ? でも優しく抱っこしなきゃアカンよ? エツィーは力が強いんやから。ほら、クロスケ」


 唐突にクロスケという名前をユーナにつけられてしまう中、ユーナは私を優しげな顔で、はいとゴリラに手渡した。


「ああ……癒されるゴリ……! なんてちっさくてモフモフで愛らしい生き物なのか……ウホッ」


 ニャンコ化した私の顔を見たエツィーが、にんまりと気持ちの悪い表情をして瞳を閉じる。


 そして……なんとこのバカは私にキスをしようと顔を近づけ……!


「シャーッッ! フーッ! フギャアァアアアアアッ!」


「ぐああああああああああ!!」


 私はエツィーの両目を思い切り引っ掻いていた。



 ──こうして、私は魔王軍へ新たな命令を下すことにする。


 その内容は……!



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