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第66話 ニャンコ魔王様


 トゥースの街に戻ったユーナたちは、冒険者ギルドに依頼の完了報告に訪れた。


 さて、私はというと魔王城に帰ったとユーナたちに見せかけ、『変化』の魔法でモフモフの黒猫へと姿を変えていた。


 そう、全ては私のユーナの動向を見守るため……!


 というのも、魔導水晶板(スマホ)の不具合でまーた『監視(ストーカー)』の機能が上手く作動しなかったのだ。そんな理由から、私はこの作戦を思いついたのだ。


 そしてもう一つ、私がニャンコになった理由はこうだ。前回私が人間に変装した際……シャンプルの時は人間たちにバレてしまうわ、キノコにも気づかれかけるわ……だったからだ。


 だが、今はどこからどう見ても、違和感なく街に住み着く地域ニャンコ。私は、ちょこちょことユーナたちの後ろをついていく。


 ふふ……! 今回の私はひと味違う……私がニャンコに姿を変えているなど、誰も気がつくまい……!


 ──さて、冒険者ギルドで依頼完了の報告をするユーナたちを私は見上げていた。

 やがてカウンター越しの受け付け嬢の後ろから、恰幅のいいおっさんが姿を現す。


「あっ、ギルドマスターのモッチさん! 『トラッフグの泉のモンスター討伐』から、ユーナたちはただいま帰りました!」


「おお、勇者様よくぞご無事で! 皆さんもご苦労さまです!」


 モッチと呼ばれたトゥースの街の冒険者ギルドのギルドマスターが、ユーナたちに頭を下げて礼を述べる。話を聞いていると、どうやら私のユーナに、わけのわからん依頼をしたのはこのおっさんのようだ。

 

 ふーむ、ユーナが危険な目に合ったのはこいつのせいというわけか……この男、どうしてくれようか……! 


 ……いや待て、ユーナも親しげに話しかけているし、少し様子を見ようか。


 そう思いながら、私はギルドのカウンターに飛び乗り、少し離れて香箱座りをすると、ユーナたちのやりとりを眺め見ていた。


 ギルドマスターがユーナ向けて口を開く。


「そうそう。さっき、アイドさんが帰って来ましてね。勇者様が無事に依頼を完了したことを触れて回っておりましたよ」


「そーなんだぁ。アイドずいぶん早く帰ってきよったんやね。うん、あんな? トラッフグの泉は──」


 ユーナの言いかけようとした言葉を遮り、ギルドマスターはニヤッ……と笑みを浮かべると人差し指を立て、左右に振りながら「チッチッチ……!」と言うジェスチャーをする。


「大丈夫です勇者様。アイドさんから全て聞いておりますよ。なんでも【猛毒の泉トラッフグを浄化し、付近のモンスターを討伐しただけでなく、突如として現れた魔王を退けた】らしいじゃないですか! さっすが勇者様です!」


 かっかっか! とギルドマスターが陽気に笑い、私はその内容に耳をピクリ! とさせていた。


 は? 私がいつ退いたと? 私は退くどころかユーナのそばにずっといたんだが?


 アイドめ……あいつ、約束は守ったようだが、余計なひと言を付け加えてくれたな……! 退いたのはザッコス盗賊団であり、そしてお前の方ではないか! おのれ……!


 私の怒りなど気づくわけもなく、さらにギルドマスターは続ける。


「いや、ほんとにありがとうございます勇者様。街の者たちも、それはもう喜んでおりますよ? 特に行商人たちが言うには、トラッフグの泉を経由して、安心していろんな街に商売に行くことができる……と、胸を撫で下ろしてました」


「うんうん、それは良かったね! って、ところでモッチさん。ユーナたちは次の行き先を【サンドリッチ】の街にしようと思っとるんやけど……何か情報はないかな?」


「えっ!? 勇者様、皆さんも何も知らないのですか?」


 うんうん、とユーナたちがうなずく。


 と、ギルドマスターが話を続けようとしたその時だった。


「あれ?! なにこのネコちゃんー! めちゃかわいいやん、モッチさんこのコ、ギルドで飼っとるの!? よちよち、こっちおいで!」


「んみゃ!?」


 私はユーナに存在が気づかれてしまい、「よいしょ」と言ったユーナはカウンターから私を抱き上げていた。


「ねえ、見てー! この子、めちゃかわいくない?」


「ほんとですわね! 真っ黒なお顔からキラキラと輝く目がとってもチャーミングですわ!」


「ボクもそう思う! あ、こっち見た! かわいいなぁ〜」


「ウム、勇者殿! ワガハイも小さい動物は大好きゴリ……大好きですよ! 特にニャンコは大好物です!」


 ユーナはギルドマスターの話はそっちのけで、私をシャンプルやキノコ、エツィーに見せていた。


 エツィー、やめろ。お前に大好物と言われると恐怖でしかない。


 とはいえ、今の私は魔王ではない。地域にゃんこだ。


 にゃんこになりきらねば……!

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