表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/85

第62話 売られたケンカは買ってやろう! 前編



「そんなバカな! 君がユーナさんと小さいころからの友達で!? しかもついさっきユーナさんを助けるために盗賊団を撃退したって!? ぜんぜん凶悪で残虐な魔王っぽくないじゃないか!」


 何を言ってるんだこいつ。魔王の定義なんて私は知らないんだけど。


 イキってくるアイドに胸ぐらを掴まれながら、私はそう思っていた。


 すると、ユーナが慌てて止めに入ってくる。


「ちょ、ちょっとアイドやめなよ! ヨルケスはたしかに魔王っぽくないけど、盗賊団を懲らしめよる時の姿はかんっぜんに魔王やったよ?」


 そんなユーナの声を聞いて、アイドは不安の眼差しで彼女を見る。


「……ユーナさん、彼とどんな関係かは知らない。だが、この男はオレたち人間の敵対種の王なんだよ。そして、君は人族の希望、神託の勇者なんだよ!? だからこんな男と一緒にいてはいけないッ」


 こんな男って私のことだよな? キノコやエツィーのこと言ってないよな?


 愛するユーナの前でこんな男呼ばわりされて、私はこのアイドという輩に全力で魔法を撃ち込みたかった。……が、人間をぬっころしたらユーナが悲しむだろうし、大人しくしとく。


 というか、ほんと初対面で失礼なヤツだ。

 私とユーナのことをろくに知りもしないくせに。


 アイドの言葉に、ユーナが若干押されながらもおずおず答えた。


「え、えっと、でもさ? 魔王が悪させんかったら別にいいんちゃう? たしかに勇者と魔王が一緒におったら変やけど……さっきも助けてくれたし……」


「はぁ!? ぐぬぬぬぬ……おい魔王! まさかオレのユーナさんに魅了の魔法をかけたのか!?」


 私の胸ぐらを掴むアイドの手に力が入る。


 てか、オレのユーナだと? 


 バカが! 私のユーナだ!


 こいつ……いい度胸だが私もそろそろ我慢の限界なんだけど! 魅了の魔法? そんなん知らんわ!


 その私を掴むアイドの腕をシャンプルが横から掴んだ。


「ねぇ、いい加減にその手を放してくださらないかしら? あなたさっきから失礼よ? たしかにダールンは魔王だけど、礼儀知らずのあなたにも問題がありますわよ?」


 私はシャンプルの伴侶ではないが、まるでほんとの妻であるかのように、彼女は静かに怒っていた。


 見れば、キノコまでが魔法使いの杖を握りしめて構えており、


「おい、お前……! ボクのヨルケスおにいさんの身体に触ったな……? 次はどこを触ろうってんだお前……? まさかソーセージか? ソーセージな部分じゃないだろうな……!」


 と、わけのわからないことを言い、今にも魔法を撃とうとしていた。


 すると、アイドはふん……! と言って私から手を放すと、興味深そうな目をしてキノコとシャンプルを見やる。


 

「なぁ、大聖女に大魔法使い。……ついでにゴリラの剣士。なんで君らはこんな男の肩を持つんだい? 君たちはユーナさんのパーティー仲間として、魔王討伐するのが役目じゃないのか?」


 たしかに、なぜかキノコもシャンプルも私になんでか知らないけど好意を寄せている。


 私を討伐するための勇者パーティーだというのに、ごもっともなセリフだ。


 前例とやらにないことが起きているのだから、アイドが疑問に思うのも当然だろう。


 私はユーナに耳打ちする様に囁いた。


「なあユーナ。ところでこの男はなんでユーナにつきまとってるんだ?」


「なんでやろ? でも行く先々でアイドがよく視界に入りよるし……ちょっとストーカーっぽいとこあるんよね。なんかこの間は『オレの運命の人よ、結婚してくれ!』とか言ってたし」


 ユーナの耳打ちを聞いて、私は殺意の炎がユラユラと揺らめいていた。


 私以外にユーナに対して恋をする人間の存在があるのは知ってはいたが……まさかここまでグイグイくる輩がいようとは。


 このストーカーめ……!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ