第56話 ザッコス盗賊団をやっつけろ! 後編
私は少年時代、ユーナを全力で守ろうとしたあの日に、魔力が限界突破していた。
初級の魔法ですら、高威力となる自分の力に驚いたのを記憶している。
わずか半径1センチほどの炎の玉でも大爆発を起こしてしまうほどだった。
そして、今の私は全属性の魔法をすべてを使いこなすなんて当たり前。
そんな私は実験として、よく魔法防御アイテムや魔法無効化アイテムに対して自分の魔法を叩き込んだことがある。
本来なら魔法を無効化するそれらを、私は全て叩き壊してしまったのだ。もちろん例外なくだ。
ザッコス盗賊団に向け、私は左手から〝煉獄の炎〟右手から〝裁きの雷〟を放つ。
「掃き溜めのゴミども、焼け焦げ懺悔せよ! 〝煉獄の炎〟〝裁きの雷〟!!」
「「「ぐぎゃあああああああ! あぢいいいい!」」」
燃え盛る灼熱の炎と、猛り狂い降り注ぐ稲妻が瞬く間にザッコス盗賊団一味を焼いていく。
のたうち回る姿はダンスそのもの。
ザッコス盗賊団の断末魔の叫び声が響きわたり──やがて静かになっていくのだった。
そして、パンツいっちょに片っぽ靴下着用の、プスプスと丸焦げになって倒れる盗賊たち。
ふと横を見ると、唯一、私の放つ魔法を遠巻きに見ていた親玉モヒカン……ザッコスと呼ばれた男が、ヘナヘナとへたり込んでいた。
私は落ち着いた口調で親玉モヒカンに尋ねる。
「で? 魔法が効かないんだったか?」
「そ、そんなバカな……! お、俺様たちが装備してるのは魔法石で作られた魔法無効の首飾りなはず……」
私の魔法の迫力に気圧されたザッコスは、ぶるぶると震えて答えた。
私はザッコスにゆっくりと歩み寄ると、ヤツの目の前にしゃがみ込み、モヒカン頭をグイ、と右手で掴む。
「魔法を無効化しようってのはいい考えだがな、私の魔力はそんなアイテムなど遥かに凌駕している。これが差というものだ」
私が真顔で喋ることによほど恐怖したのか、ザッコスは剥き出した歯をカチカチと鳴らして言う。
「ば、ばけもんだ……!」
化け物じゃない、魔王だ。私をその辺のモンスターと一緒にするな。
まぁ仕方ないか、こいつは私を見るのも初めてなんだろうし。それに、こいつらはさっきまで自身まんまんで暴れまわってたからなぁ。
まさか自分だけ残して全滅させられるなんて考えてもなかったろう。ましてや魔法を無効にできるアイテムが意味を成さないなんて、完全に予想外だったのだから。
そんな私の目に、焦りだす親玉モヒカンザッコスの顔が映る。
「た、たのむ! 許してくれぇ!」
追い詰められたザッコスの、死に物狂いの命乞いが響き渡る。
叫んだところで私が許すと思うのだろうか?
答えは否、許さん。
私は力強く握りしめた右手を後ろに曲げ、勢いをつけてザッコスを殴りつける。
「ゴフゥッ! あがが……た、頼む、い、命だけは助けてくれッ!」
「何を調子のいいことを言ってるんだケダモノが。お前……今まで散々、女や子どもを嬲り倒してきたんだろ? 同じように命乞いをした者たちに、おまえたちは酷いことをしてきたんだろう?」
「そ、それは……」
「というかな。おまえ、私を殺す気満々だったくせに筋違いなこと言うなよ、この掃き溜めのケダモノが……! お前も炎の中でダンスを踊れ! 〝煉獄の炎〟!」
「ぎゃあああああああ! あぢ! あぢいいいい!」
懇願し命乞いをするザッコスに、私は問答無用で煉獄の炎クリムゾンフレアーを放つと、ザッコスは狂ったようにのたうち回る。
やがて炎が収まると、プスプスと焼ける、モヒカン頭の丸焼きのいっちょ上がりで、パンツいっちょ片っぽ靴下着用の変態が無様な姿をさらす……。
ま、魔力は抑えたからな。
こいつら全員、やがて目を覚ますだろう。
さて……どうしてやろうかな……!




