第41話 墓穴を掘ったぁああ!
センシティブすぎる私とビエルの画像を見たことで、ユーナは私を『変態』として認識しているようだった。
たしかに、魔王軍は変態ばかりの集団だ。そんな変態たちの王をしている私。ユーナが私のことを変態を見るような目で見てしまうのも頷ける。
当然だ。
それに、この画像はどこからどう見ても、ビエルと私がいやらしく愛し合っているようにしか見えない。
このままではユーナに、男女問わずつまみ食いしている最低な魔王というレッテルを貼られてしまうかもしれない……!
どうにかしなければ……って、それにしてもビエルめ! 私が寝てる時に、なんてセンシティブな悪戯をしていたのか!
そしてノゾッキー……貴様は毎度のことで言わずもがなだ。あんにゃろーは私に恨みでもあるのだろうか……!?
ふん、いいだろう。上等だ四天王どもよ、受けて立ってやる。この私を貶めたその罪、貴様らには地獄すら生ぬるい!
……ところでだ。
これ以上声を荒げて言い訳をするのは魔王として少々不躾なことだ。
なにより、男らしくない。
それに、焦ってばかりの言い訳ばかりでは墓穴を堀ってユーナとの雰囲気をさらに悪化させる危険性まである。
この状況の中で最適な一言を探すため、私は頭をフル回転させていく。
その結果、導き出された一言はこうだ。
「……ユーナ、落ち着いて聞いてくれ。その画像はたしかに男同士の愛を確かめ合う画像に他ならない」
「やっぱり……? だよね」
ユーナが、私を男色家か両刀だと思った瞬間だった。
だが、そんな不利な状況下の今こそ、ユーナの心の中に入り込める境地。
今こそ、私は人間たちを利用させてもらう。
「ユーナ、この画像はな。魔王軍の舞台公演の宣材ポスターなんだ」
「ポスター?」
首をかしげるユーナに向かって私は微笑んだ。
「そうだ。実は、人族で流行っている恋愛作品【俺のアレが巨根みたい! と言うアイツの股間が気になって夜も眠れない】を、魔王軍バージョンで舞台化しようとしたわけだ。何しろこの作品は魔王軍でも大人気でな」
「こ、こんなエチい感じの、しかもメンズ同士のが!?」
「その通り。人族も舞台化までしている超人気ボーイズラブストーリー……。しかしだ。魔族の皆が人族の舞台を見にいくわけにもいかん。だから私は魔王として、皆が楽しめる娯楽を考え提供しようと思ったのだ。これは魔王軍や魔族の皆へ告知するための画像……紛らわしい画像で混乱させて、すまなかったな」
我ながら苦しいウソ混じりの言い訳だ。
しかもこの画像は舞台公演のポスターでもなんでもない。ノゾッキーの盗撮画像だこれは。ご丁寧に、画像をキラキラさせたりハートマークまでつけて編集しやがって! クソが!
とはいえ、魔王権限を最大限まで使えばこの舞台をやることも可能だ。我が魔王軍にも優秀な演劇家はたくさんいる。
実現させればウソにはならない。
私はユーナにウソをつきたくないからな。
するとユーナは「えー!? そーなんだぁ!」と、ただでさえ大きな目をまるくして言った。
ユーナの良いところの一つは、聞く耳を持ってくれるところだ。私としては純粋なユーナを騙すみたいで心苦しいが……。
私がそんなことを考えていると、ユーナはしばらくしてから言った。
「じゃあいつか、この舞台ユーナにも見せてね? これ、ヨルケスが出よるんやろ?」
突然ユーナが口にした言葉に私は驚き、「え!? い、いやぁ……私はその……」と、言ってうつむいてしまう。
「で、ヨルケスはこのメイン役の男の子やりよるん?」
ユーナは、そんな私の顔を下から覗き込むようにして言う。
やめてくれ、私は男と抱き合う趣味はないんだユーナ……うぅ、どうやら私は墓穴を掘ったようだ……ぐすん。




