第18話 まさかのBLキャラ!? キノコの気持ち(マッシュ視点)
ボクはヨルケスおにいさんに興味を持ってしまっていた。
彼の不思議な魅力と、そしてもの凄い魔力。
いったい彼は何者なんだろう? ボクはヨルケスおにいさんに問いかけた。
「それにしてもよかった~。ヨルケスおにいさんみたいに、強そうな人がボクらの仲間だなんて、心強いですよ!」
「ボクら? キノコ以外に誰かいるのか?」
「そりゃあそうですよ! って、ところでヨルケスおにいさんはどんな職業なんですか? あんな強大な魔力を持つ職業って……? うーんと、ボクより上位職の神聖魔法使い? それとも魔法剣士かな?」
「職業当てクイズをするつもりはないが……。ふむ、どれも違うぞ?」
「えー!? 思い浮かばないですよぅ」
「想像力の乏しいキノコだな、では教えてやろう。私の職業は魔王だ。魔王軍の頂点にして魔王、ヨルケス・ブーゲンビリアだ」
「ふーん、そーなんですねぇ」
そっかー……魔王か〜、魔王ね……。
って、えっ!? えっと、あれ!?
ボクは目を丸くして、驚く。
「ヨルケス・ブーゲンビリアって……ま、魔王軍の!? だってボクさっき〝魔王みたいな名前〟って言いましたよね!? 当たってたのに……な、な、なんで、ウソついたんですかっ!?」
「ん? キノコよ、私はウソなどついてない。私は名前を言っただけだし、お前の言ったことを否定したわけでもない。それに私はウソが大嫌いだ」
「そ、そんな……! それになんで、ま、魔王が……冒険者ギルドに……?」
「魔王が冒険者ギルドに来てはいけないのか? そんなルールが人族にあるなど聞いてないぞ? それに、私はお前たちいと小さき者どもと争うつもりでここに来てはいない」
「あ、そ、そーですか……それならいいんですけど……」
あれ、ちょっと待って?
だとしたら、ヨルケスおにいさんはなんでユーナちゃんを探しているんです?
まさか……ユーナちゃんがレベル1のうちに始末しようと……? でもさっき、争うつもりはないって……?
ボクは恐る恐る、魔王ヨルケスおにいさんに聞く。
「どうしてユーナちゃんを探しに……? ことと次第によってはボクは……あなたを倒さなければ……」
ボクは大魔導師の杖を強く握りしめ、すぐに魔法の詠唱ができるように構える。
だけど、魔王である彼から返ってきた言葉はあまりにも以外すぎるもので、とても純粋だった。
魔王とは思えないほどに……!
「愛する者に逢いにきたらいけないのか? 理由がなければ、好きな女の子に逢ってはいけないのか? 私はただ、ユーナに逢いたいだけだ」
「え、え、え? ……そ、そんな理由で敵対してるボクらの、それも屈強な冒険者たちが集まるギルドに来たんですか!?」
「そんな理由? キノコ、口を慎め。人の想いをバカにするのは感心できないぞ? いいか、私からしたら、十分すぎるほどの理由だ。それ以上の理由など、あろうはずがない」
ボクは衝撃を受けてしまう。まるで、心に雷撃魔法が流れたように……!
だって、恐るべき魔王のはずの彼が、歯が浮くような愛のセリフを平然と言ってのけたのだから。
魔王なのに……どことなく人間ぽくて、誠実で、一途な男の人だな……。
けど……ボクはこの男が恐るべき魔王と知らずに、普通にお話しをしてたのか。
う、うわぁ……思い出したら急に身体が震えてきたよ……!
「ん? キノコよ。なぜそんなに身体が震えてるのだ? ふむ……たしかに今日は少し寒いからな、冷えたのだろ? よし、私の魔王マントと魔王マフラーを貸してやろう、これで身体を温めろ」
「ふぁあっ……!? ど、どうして? な、なんでそんなに優しくするんですか……?」
ボクはヨルケスおにいさんの大敵、勇者パーティーの大魔法使いなのに……?
きゅ、急にこんなことされたら、ドキドキしちゃうよ。
お、おかしいな、ボクは男のコなのに……。
魔族って、もっと怖くて恐ろしいと思ってたのに。それに、その魔族の頂点に座する魔王がこんなに優しいだなんて……!
ボクはなぜか、魔王ヨルケスにときめいていた。高鳴る胸の鼓動が止まらない。
ドキドキ、ドキン、トゥンク……!
「どうしたキノコ、遠慮する必要などない。ん? さてはお前マフラーの巻き方も知らんのか? ほら、こうするのだ」
……彼が魔王だというのに、不思議とボクに警戒心はなかった。
ヨルケスおにいさんが、ボクの首にふわりとマフラーを巻きつけている。真っ赤な色をして、情熱的なマフラーだな……大人っぽくてすてきかも。
あとなんか、いい匂いがする。
「あ、ありがとうヨルケスおにいさん……」
ボクは彼を見上げて、ぽつりとお礼をつぶやいた……そのときだった。
「あ! いたいた! おーいマッシュー!」
ユーナちゃんがぶんぶんと手を振りながら、ボクらの元へと駆けよってくる。
「もー、探したよ? どこ行ってたの?」
「ご、ごめんユーナちゃん。ボク身長ちっさいからユーナちゃんを見失って。そんな時、こちらのおにいさんと出会って、ついお話しが盛り上がってしまって…………」
ボクがそう言うと、ユーナちゃんがヨルケスおにいさんに顔を向ける。
ユーナちゃんは身体をくの字にして、腰に両手を当てながら。
「ちょっとヨルケス、あんたこんなところで何しとるん? まさか、マッシュをいじめよったんちゃう!? 怒らんからしょーじきに言うてみ? な?」
ユーナちゃんが目をつりあげて、ヨルケスおにいさんに詰め寄ると、彼はみるみるうちに顔が真っ赤になっていった。
というか、ユーナちゃんに返答する彼はどこか嬉しそうだった。
「そ、そんなことしない。わ、私がユーナを探してたら、たまたまこのキノコもユーナを探してるっていうから、二人で協力してただけだよ? 私はな、とにかくユーナに会いたかっただけなのだ!」
そして、ユーナちゃんとキスをしてしまうんじゃないかってほど、二人の顔の距離は近かった。
それを見て、ボクのハートがなぜかチクリと痛む。
そういえば、ヨルケスおにいさんはユーナちゃんに会いたかったんだよね。
会えて嬉しくなるのは当然だよね。
でも……なんでだろ、ちょっと妬けてしまうのは。
もしかしてボクは……?
き、が、る、に!
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