第12話 魔王の朝は四天王おっきの儀にて!
ユーナに二回目の告白をしたものの、ふたたび撃沈した日の翌朝。
「魔王ちゃまー! 朝でちよー! うぇーくぁっぷ!」
四天王ロリエラ・ジュニサイが元気な声とともにベッドに勢いよくダイビングすることで、私は眠りから覚めてしまう。
なぜか、魔王軍四天王は交代で私の起床のお手伝いをすることになっており、今日は順番でいうとロリエラの番だったようだ。
というか、マジでやめてほしい。
みんな手を変え足を変え、私の起床の際にいろんなことをしてくれる……というか、してくる。
時には私の貞操の危機だってあるから、ほんと勘弁してほしい。
私はユーナと朝チュンはしたいけど、何が悲しくて変態魔王軍の、さらに特別変態な四天王と朝を迎えなければならないのか。
ギラギラと目を光らせ、私のお尻を舐め回すようにロックオンしてくるのが、イケメンエルフのビエル・フダンスィ。
そして私のウィンナーをダラダラとヨダレを垂らして召しあがろうとするのが、獣人猫娘のロリエラ・ジュニサイだ。
私が何度も魔王軍幹部会議で、
『毎朝、私を起こしに来なくていい』
と言っても、多数決で却下されるので【四天王当番制・魔王様おっきの儀】は悲しいけど恒例となってしまった。
とはいえ、私は魔王だし、強大な力をチラつかせて意見をねじ伏せる方法もあるのだけど……恐怖で支配して、果たして部下はついてくるだろうか?
私は断言する。
恐怖で築き上げた栄光なんて、必ずどこかで歪み、決壊する。
恋愛にしろ、仕事にしろ、大事なのはなによりも『男としての魅力』だ。
そりゃあ、しょっちゅう四天王の誰かしらを(特にノゾッキーを)消し炭したりする私が言うのもなんだけど……!
と、とにかくだ。そんな私の背中を見て、部下たちが慕ってくれるのがいちばんいいのだ。
だからさ……仕方ない、みんなが起こしたいって言うんじゃさ。
部下の意見も大事にするのも、魔王軍の頂点にして魔王の大事なルールの一つだ。
ところで、ロリエラが私を起こしに来る時は毎回、設定があるらしい。
聞けば、本日のロリエラは私の『元気な妹』設定なんだとか。
うん……ロリエラよ。私は妹属性は無いし、君は魔王軍四天王という立場なんだが……? それに私はロリエラのお兄ちゃん役で起きないといけないのか? もの凄くイヤなんだけど……!
ということで、私はベッドから身体を起こすとロリエラにお兄ちゃんではなく魔王として、問いかけた。
「ロリエラよ、朝から元気なのは素晴らしいことだが……テンション高すぎだぞ? というか、なんか良いことあったのか? そんなニコニコして」
「え!? えっとー、そのー……。魔王ちゃまごめんね? だって……魔王ちゃまが勇者ちゃんに告白して、あんのじょーフラれてくれたから……ついうれちくってじゃなくてげんきだちてほちくって! だからね? まおーにーちゃま、あさでちよ? ちゅーちたらおっきちてくれる?」
上目遣いで私に問いかけるロリエラに対して私は思った。
何言ってるのかな?
私、今起きてるよね?
マジでお前が何言ってるかわからない。
わからないが、つまり私がフラれたことがめでたくて嬉しいと、彼女は言ってるようだ。
まったく、もう一度言うが私にはロリコン妹属性はない! そんな上目遣いされても私には効果はない。
それにしても……私は女の子に手を挙げる下劣な趣味など持ち合わせていないが、いつか何かで彼女にお仕置きをしてやる必要がありそうだ。
なぜなら。
私の魔王としてのモットーは、『他人の不幸は蜜の味じゃねぇ』だからだ。
私がフラれたことを喜ぶだなんて、君が男なら100回は消し炭にしているぞ?
あぁ、消し炭にしたといえば、そうそう。
昨晩、私はユーナとじゃあまたね、とバイバイした後のことを思い出す。




