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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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『僕じゃない僕と僕』

作者: 呟木心葉
掲載日:2009/11/27


 どうも、呟木心葉です。


少しグロテスクかも。

血生臭い表現は無いので

その部分は安心してお読みください。


 ……では、また。


By.つぶりん

 僕の右腕が斬り落とされた。もう何度目だろう。床に鈍い音をたてて落ちた僕の右腕は、早くも白い灰変わって行く。

 それと同時進行に、斬り落とされた断面から右腕がなめらかに生えてくる。キノコの成長を早送りで見ているようだ。でも、この光景も見慣れてしまった。

 僕の身体は、どこを傷付けても直ぐさま再生する。このサーカス団では『奇跡の復活人間』とか呼ばれているけど、あんまり嬉しくない。本当の名前を誰も呼んでくれなくなってしまったから。僕には、とても綺麗な名前があるのに。

 

 今日はいつもと違う事をするらしい。初耳だ。舞台に立って、何だろうと思っていると、いつもより一回り大きな剣を持った男がやって来た。団長だ。団長が舞台に立つのは、クライマックスだけのはずなのに。

「首、切るから大人しくしてろ」

 そうか、今日のクライマックスは僕なんだ。

 首。僕は今まで身体の至る所を斬り落としてきたけど、首だけはまだだった。だって、首を斬り落としたらどうなるか何て分からないから。もしかしたら再生しないかも知れない。でも、団長にとってはそんな事関係無いんだろう。客が来ればそれでいいのだ。それとも、団長は気になって仕方ながなかったのかも知れない。僕の首を斬ったら、どうなるのかが。

 煽り文句を長々と話していた団長が、くるりと僕に向かい合う。その動きは、まるで機械仕掛けの人形のようだった。

 剣を持った腕をぐいっと振りかぶり、バネ仕掛けのように僕の首めがけ振り下ろした。

 一瞬で、意識を失った。


■ ■ ■


 目が覚めると、目の前に僕がいた。僕の前にいる僕は、団長が持っていたはずの剣を持っている。血糊がついた、大きな剣。

 状況を理解出来ずにいると、ふと足元に転がる球体を見付けた。一瞬何かわからなかったが、すぐに気が付く。団長の頭だ。

 驚きと恐怖で座り込む。団長は復活人間じゃない。という事は、死んだって訳だ。

 僕は目の前の僕を見上げる。僕は笑っていた。爽やかな笑顔で、目の前の僕は僕に手を差し出した。

「おはよう、スカイ。早く外に出よう、自由だ。僕達はこんな暗い箱の中にいるべき存在じゃない。明るい空の下へ、さぁ」

 久しぶりに名前を呼ばれた。嬉しかったけど、呼んだのは僕自身だった。きっと、向こうの僕は身体から頭が生えてきて、僕は頭から身体が生えてきたんだろう。変な話だ。首を斬られたら分裂してしまった。

 君が僕なら、僕は誰だって言うんだろうか。僕は、きっと僕だけのはずなのに。

「ああ、行こう」

 そういいながら差し延べられた手を握り、起き上がるように見せかけ重心を後ろに下げ、相手がバランスを崩した所を足払いする。倒れる衝撃で、目の前の僕の手から剣がこぼれた。

 直ぐさま剣を拾い、勢い良く振り上げる。

「な、何をするんだ」

 会場は静かだった。客は目の前の僕が団長を殺した時に逃げたんだろう。

 二人の息づかいだけが響く中、少し息を吸い込んで。

「僕は、一人だけでいい」

 呟いて、剣を振り下ろした。

 

 再生しないように、何度も、何度も……。



――End――



 どうも、呟木心葉です。


最後まで読んで頂き

本当にありがとうございます。

これからも頑張りますので

応援よろしくお願いします。


 ……では、また。


By.つぶりん

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