戦略/断線
戦うのみだ。
戦うのみだ…
…
ダメだ、どうやっても負ける未来しか見えない!!!
相手が刀しか持っていなくて近接戦だというのなら勝機はある。しかし…
相手はおそらく魔導大隊。それこそ混合属性魔術や魔法さえも使って来るかもしれない。
それにおじさんにも聞いた事があるが…
「魔導大隊は凄いんだぞ〜。魔力を砲台に込め発射する新兵器もあるんだ」
「すげーー!」
魔力を砲台に込め発射する…当たったら、まぁ、即死だけど…
…どうする。
相手の戦力すら把握しきれていない状態で、軍の連中に勝つ事は不可能だ。
それに攻め時すら決まっていない。
もう既に夕方だ。時間も猶予もない。
あーあ、泣いてさえいなければもっと考える時間はあっただろうに…
あー!どうする!どうする白!何か手は____
グゥ〜ッ。
…そういえば、昨日からまともな飯一つ食いやしていない。
レストランに行ってキングの肉を調理してもらうべきだろうか。
…リスクが高すぎる。でも、生で食べるのも…
(スンスン)…うっ臭え。臭過ぎるぞコレ。食欲が消え失せるくらいには。
…まぁ、生きる為には仕方がない。食べるしか道は__
バンッ!ドンドンッ!
聞き慣れたドアの音だ。
なるほど、俺を捕らえにきたのか。だが、この距離ならば…!
肩を前に突き出し、姿勢を低く構え、
そのままドアを突き破る!!!
「?!」
付近の兵士三人は驚きながらも槍を構えたが____
スパーンッ!
三人一気に木刀で叩いてやった。
…しかし、空には魔術による狼煙。
つまり、ここもすぐに見つかる!!
そうとなれば…街中か森に逃げるしかないが…
街中はおそらく兵士が巡回している頃だろう。
それに森には動物やモンスターも徘徊している。
うまく仕留めればいい食糧にもなってくれるだろう。
そう考えた時には、もう既に森の方向を向いていた…が
ヒュン、と。
頭の横を何かが通過した。
通過しただけで周りの温度を上げるような、
ズドーン!
森の方向で爆発が起きる。そう、俺の向いていた方向で。
つまり…敵は真後ろにいる!!
もう既に足は動いていた。
とにかく姿勢を低くして走ったり、時々変な挙動を見せて敵を錯乱させようとした(多分効果ない)けど、気付けば森の中まで入ってきていた。
「…っ!」
意識が朦朧とする。
腹の虫、というより身体の非常サイレンがずっと鳴っている。ここ数日間何も口にしていなければ、水も飲んでいない。
今にも崩れ落ちてしまいそうな頭を抱え、必死で歩き続けた。
…でも、ある時、俺の意識はプツリと音を立てて、真っ暗になってしまった。